生きていく上で、食事は無くてはならないものです。適切に栄養を摂取し、適度に運動することが、健康には不可欠と言われます。では、スポーツをやっている場合はどうでしょうか。

持久系種目であれば「糖質」、大きな筋肉が必要なら「タンパク質」、一刻も早い回復が必要なら「ビタミン系」が必要かもしれません。種目により異なりますが、いわゆる「一人前」の食事では足りないことがほとんどです。今回は、トライアスロン選手である私が普段から食事について気を付けていることをご紹介します。

目次

毎日のトレーニングを完遂するために筋内のグリコーゲン補充に注意する

トライアスロンの練習は、長時間になることが多いです。私の場合、年間を通して1日4〜6時間を練習に当てています。これは、3種目あるトライアスロンには仕方のないことでしょう。練習時間が長い分だけ、毎日たくさんのエネルギーを必要とします。

体を動かす際、筋肉はまず筋内に貯蔵されている筋内グリコーゲンをエネルギー源として利用します。この筋内グリコーゲン以外に脂肪酸もエネルギー源として利用するのですが、脂肪酸をエネルギー源として利用するには、多くの行程を経ることが必要です。これに加えて、多くの酸素を必要とする分、脂肪酸をメインのエネルギー源として利用する練習をしようとすると、運動強度が低くなってしまう傾向にあります。そのため、基本的にはこの筋内グリコーゲンを利用して練習することになるのです。毎日、目的通りの強度で練習するため、炭水化物に関しては3食+練習後など、足りなくなってしまわないよう注意して摂るようにしています。

疲労回復&超回復。トレーニング後だいたい30分以内には糖質とタンパク質を摂取

トレーニングされる方ならよく耳にすることだと思いますが、トレーニング後だいたい30分以内に素早く栄養を補給することで、トレーニングによる疲労の回復と超回復の効果をさらに促せると言われています。このとき、よく言われるのは「必ず30分以内に!」ということ。しかし、私はこの30分という時間について、そこまでシビアに考えなくても良いと思っています。

トレーニング後、だいたい30分。つまり、トレーニングが終わってから着替えのタイミングで栄養補給することにしています。クールダウンや片付けなどもあるでしょう。ですから、この時間自体はそこまでシビアに考えなくても問題ないと考えています。最低でも、1時間経つ前に補給できれば良いというくらいの感覚です。

そして、このときに私は一般的に言われるタンパク質に加えて、糖質も一緒に摂れるようにしています。これは前項でもお伝えした通り、持久系競技のトライアスロンではトレーニングで大量のグリコーゲンを消費するためです。次の練習に向けて、早めに補充を済ませておきます。タンパク質は筋の成長と疲労回復のため、糖質は疲労回復と翌日以降のトレーニングのためというイメージです。

トレーニング後の素早い栄養補給は、継続して高いレベルのトレーニングを積んでいくためにとても重要なことです。ですから、この栄養補給のタイミングに関しては、特に注意して日々のスケジュールを立てています。

1日の食事で肉と魚と卵は必ず摂るようにする

ここからは、栄養よりも食材の話になります。栄養に関して、私はスポーツをやっていようがいまいが、5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく食事で摂ることが重要だと考えています。バランスの良い食事を突き詰めた先に、スポーツ選手としての強化があるという考えです。

日本に住んでいると、色々な食材がスーパーで簡単に入手できます。選択肢が多いというのは、それだけ多くのパターンから献立を決められるということ。それと同時に、何を食べようか悩んでしまう原因にもなります。

「炭水化物は何で摂る?タンパク質は?ビタミンは?ミネラルは…?」

基本的に、5大栄養素を過不足なく摂取できれば何を食べてもいいと思うのですが、私はこれに加えて、1日のうち必ず肉・魚・卵を食べられるようにしています。特に細かい理由はありませんが、魚にはEPAやDHAなど、炎症を抑制するとされる栄養素が含まれているそうです。また、肉類の中でも、特に豚肉は豊富なタンパク質に加えて、糖質やアミノ酸の代謝に必要なビタミンB1が含まれています。卵に関しては、完全栄養食品として多くの栄養素がバランスよく含まれている食材。こうした理由から、特に体が資本のスポーツ選手として特に必要なものと考え、毎日必ず食べるようにしているのです。

調理は手早く簡単に。油をなるべく使わないものを

一人暮らしのスポーツ選手だからこそのこだわりだと思いますが、練習でクタクタになって帰宅し、そこから食事を準備する身としては、凝った料理をする余裕なんてありません。そのため、料理行程はなるべくシンプルで、調理時間も最長20分程度の料理を選ぶようにしています。そうなると、できる料理も限られてくるのですが、その中でも調理過程では、なるべく過剰な油を使わないことにも注意しています。

そうなると、当てはまる料理は鍋くらいしかありません。しかし、鍋は野菜や魚、さらに肉も入りますし、水分も取れる料理です。調理も簡単なので、一人暮らしのスポーツ選手には非常に強い味方だと思います。

食事は生きていくためにも、強い体を作るためにもなくてはならないものです。私は栄養をなるべく食事で補給し、どうしても足りない部分をサプリメントなどで補助するようにしています。

とはいえ、食事で一番大切なことは「美味しく、楽しく」です。過度に制限した結果、食事をすることがストレスになってしまうようなら、それは意味がありません。私も週に一度、練習が休みの日は今回ご紹介したことを考えず、好きなものを食べる日を設けています。美味しく、楽しく、ストレスなく続けられる献立を自分の中で探ってみてください。自分にとって何が適切なトレーニングなのかを模索するのと同じくらい、面白い探究になるかもしれません。

By 古山 大 (ふるやま たいし)

1995年4月28日生まれ、東京都出身。流通経済大学を卒業後は実業団チームに所属。2020年1月に独立し、プロトライアスロン選手として活動。株式会社セクダム所属。 <主な戦績> 2015年「日本学生トライアスロン選手権」優勝 2017年「日本U23トライアスロン選手権」優勝 2018年「アジアU23トライアスロン選手権」2位 2019年「茨城国体」3位、「日本選手権」11位 2021年「日本トライアスロン選手権」4位

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