まもなく、『WORLD PADEL CHAMPIONSHIPS DUBAI 2022』(以下WPC)が開催されます。コラムを読んでいただいている方は、「またパデルの世界大会があるの?2年に1回じゃなかった?」と思われるかもしれません。今回のWPCが正規の開催で、去年に開催されたWPCは本来2020年に開催されるはずだったもの。コロナの影響で1年延期となって開催されたものでした。詳しくは、以下の記事をご参照ください。

全日本が2回、国別対抗戦が2年連続で開催!?2022年のパデル界は”変化の年”

目次

女子は次のフェーズへ

前回は男子が予選決勝で敗退。女子は予選なしの本戦ストレートインで、16チーム中14位という成績でした。 今回は女子も予選からの参加となり、男女共に9月に開催されたエジプトでのアジア・アフリカ予選に参加。 結果は男子が予選敗退、女子は本戦出場で、男子はこれで3大会連続の予選敗退、女子は3大会連続で本戦出場(過去2回は予選なし)となりました。この結果からも分かるように、アジア太平洋地域では女子に関して日本が先頭を走り続けています。今大会も予選リーグと決勝トーナメントを含めて、落としたセット数はたったの1つ。全勝で本戦出場を決めました。

しかし、世界の中に入ると16チームある中で、まずスペインとアルゼンチンが他国より頭二つくらい抜け出ています。その下にフランスやイタリアといったヨーロッパ勢、メキシコやパラグアイといった南米勢がひしめき合っており、その下に日本がいるという構造(日本の下にはチリとイギリスがいます)。ランキング上では連なっていますが、ヨーロッパや南米の各国と日本を比べると、やはり“頭一つ違う”印象は否めません。

とはいえ、日本の女子代表選手のレベルも急速に上がっています。私のアカデミーにも代表選手がいますが、ときどき男子顔負けのプレーも見せるぐらいの成長を見せてくれています。選手本人は大変でしょうが、彼女たちが上位の国にどこまで通じるかとても楽しみです。

男子は3大会連続予選敗退

一方、男子は3大会連続予選敗退という厳しい結果となりました。2018年はオーストラリアに予選決勝で負け、去年(2020年大会)は同じく予選決勝でカタールに敗退、今大会は準決勝でエジプトに負けています。去年に日本を倒して予選突破したカタールは、ホスト国のため本戦ストレートインとなります。

ここで少し話がそれますが、当初カタールで開催予定だった今大会、サッカーW杯がWPC直後に開催する日程だったため、以前から「本当にこの日程で開催するのか?」と懸念する声が。案の定、大会開催2ヶ月前というタイミングで世界大会規模のトーナメントの開催国が変わるという、他のスポーツではあまり聞いたことがないことが起こりました。私が『WORLD PADEL TOUR』(以下、WPT)に出場していたときも、大会概要が出たり会場が決まったりするのが1週間前…なんていうことも珍しくなかったので、パデル界に身を置いているとこういったことにも慣れてきます。

男子代表に話を戻すと、2018年に予選決勝で日本を倒して本戦出場を果たしたオーストラリアは、本戦のグループリーグで1セットも取れず全敗し、16チーム中16位という成績でした。同じく、去年に予選決勝で日本を倒して本戦出場を果たしたカタールも、グループリーグで全敗して16チーム中16位。そして、2018年に本戦出場を果たしたオーストラリアは、今大会sw日本と同様に準決勝で敗れています。一方、去年に準決勝敗退だったイランと予選リーグで敗退したエジプトは、今回決勝の舞台に勝ち進みました。

このような事実だけを並べると、アジア太平洋地域での日本の立ち位置がどんどん下がっていっているのが分かるでしょう。そろそろ、この点は真剣に考えるべきときが来ている気がします。本戦出場を決めたエジプトは国内にパデルコートが400近くあり、急速にパデルが成長しています。しかも、チームでスペイン合宿を行うなど、個人だけでなくチームとしてもレベルアップのための活動を積極的に行っているようです。日本チームもこれに追随していかないと、もっともっと差が離れていってしまうのは目に見えています。

ただし一方で、嬉しいニュースもありました。WPCの後に同会場で行われた『FIP STAR』という世界ランキングが付与される大会で、日本人ペア2組(冨中・畠山ペア、日下部・平ペア)がベスト16に入ったのです。なお、現在パデル界にはFIP、WPT、APTという3つのツアーがあります。詳しくは以下記事をご覧ください。

世界ではすでに戦国時代突入!パデルを取り巻く世界の最新情報

これまで私を含め、プロツアーに出場した日本人選手は全部で3名。しかし、全員パートナーがスペイン人で、日本人ペアで出場して1勝したというのは日本のパデル界にとって大事な“目安”となります。 同大会は女子も開催され、そちらはなんと日本人ペア(山田・沓名ペア)が準優勝という結果でした。

来年は再度海外へ

このWPCは2年に一度の大会です。しかし、海外にはプロツアーが乱立していることもあり、毎週のように大会が開催され、上を目指す各国のパデルプレーヤー同士でしのぎを削っています。一方、日本を含むアジアでは、国際大会が行われるのが日本で年一回、オーストラリアで年数回のみ。テニスのアジアンスイングのようにアジア各国で同時期に大会が開催されていれば、ヨーロッパや南米からも強い選手が来る可能性がありますが、当面は難しいでしょう。

そうなれば、やはり来るのを待つのではなく、こちらから世界に飛び込むしかありません。ですから私も、来年は海外での活動を視野に入れています。私のようなおじさんアスリート、あるいはアカデミーで世界を視野に練習を重ねている選手を応援してくださる企業様がいれば、ぜひご連絡ください。

By 庄山 大輔 (しょうやま だいすけ)

2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。

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