ラグビー王国と呼ばれるニュージーランド(NZ)で、2022年10月8日から女子のラグビーワールドカップ(15人制)が開催される。日本代表もこの世界規模の大会に参加することから、ぜひ注目したいところだ。

女子ラグビーと言っても、男子と条件(フィールドの広さや試合時間)は変わらない。男子顔負けのコンタクトプレイや高いスキルも見られるなど、近年人気が出てきている。まもなくキックオフとなる女子のラグビーワールドカップ。その概要や優勝候補の一角であるNZ代表、そして日本代表について、開幕前に盛り上がりを見せている開催国のNZからご紹介しよう。

目次

女子のラグビーワールドカップの歴史

日本では女子ラグビーにあまり馴染みのない方が多いだろう。そのため、意外に思われるかもしれないが、女子のラグビーワールドカップは今回で9回目の開催になる。第1回目は1991年にウェールズで開催され、男子の初開催は1987年なので、これとさほど差がない。12チームによる戦いの末、初代のチャンピオンはアメリカとなっている(2位イングランド、3位決定戦は行われていないのでニュージーランド、フランスが3位)。

もっとも優勝が多いチームは、4連覇を含む通算5度の優勝のニュージーランド。その他、1994年と2014年の2度の優勝しているイングランドは7回も決勝まで進出している。

ラグビーワールドカップ2021

今回の大会は2022年10月8日に開幕し、11月12日の決勝で幕を閉じる。ニュージーランドが開催国で、南半球では初めての開催だ。当初は2021年に開催される予定だったが、COVID-19のパンデミックにより1年延期された。これは、開催国であるニュージーランドのゼロCOVIDポリシーにより国境が閉鎖されていたため、チームが厳格な検疫措置の対象となることも影響したようだ。

なお、一年延期となったものの「ラグビーワールドカップ・ニュージーランド2021」と言う名称はそのまま残しているが、サブタイトルとして「2022年にプレー」も付けている。ラグビーワールドカップ2021から性別を指定せず(タイトルに女子を入れず)「ラグビー ワールド カップ」というタイトルで行うことになる、初めての大会となる。

開催会場

開幕戦の3試合はオークランドにあるラグビーの聖地 Eden Parkで3試合開催され、準決勝と3位決定戦、決勝も同スタジアムで行われる。その他の会場は同じくオークランドの西にあるワイタケレ・スタジアム、そしてオークランドから車で北に2時間弱ほどの場所にあるファンンガレイのセメノフ・スタジアムと北島のみの開催となる。

ラグビーワールドカップ2021出場国12チーム

前回の2017年大会の順位は下記の通り、上位7チームが自動的に出場権を獲得した。

  1. ニュージーランド
  2. イングランド
  3. フランス
  4. アメリカ
  5. カナダ
  6. オーストラリア
  7. ウェールズ

残り5チームのうち南アフリカ(アフリカ)、日本(アジア)、イタリア(ヨーロッパ)、フィジー(オセアニア)は地域トーナメントを勝ち上がって出場権を獲得。そして、最後の一枠は敗者復活戦でスコットランドが勝ち上がり出場を果たしている。

ラグビーワールドカップ2021プール組分け

プールA

プールB

プールC

ニュージーランド(2)

カナダ(3)

イングランド(1)

オーストラリア(7)

アメリカ(6)

フランス(4)

ウェールズ(9)

イタリア(5)

南アフリカ(11)

スコットランド (10)

日本(13)

フィジー(21)

(カッコ内は世界ランキング、9月19日現在)

※参照:WORLD RUGBY ワールドランキング

準々決勝に駒を進めるのは、各プール上位2チームの合計6チーム、各プールで3位の中からもっとも得点が多い2チームの合計8チームによりトーナメント方式で優勝を争う。

ラグビーワールドカップ2021の優勝候補

世界ランキング1位のイングランドが、サイズの大きいFWを武器にBKもトライを取り切る力があり頭一つ抜けている。そのイングランドは2回優勝、5回2位、3位が1回とすべての大会で3位以内に入っている唯一の国だ。イングランドを追うのがニュージーランド、フランスというところだろうか。

開催国ニュージーランド代表は、もっとも成功したチーム

オールブラックス(ラグビー男子NZ代表の愛称)で有名なニュージーランドラグビーだが、女子も実力がある。『ブラックファーンズ』の愛称で呼ばれるラグビー女子NZ代表はワールドカップ通算5回の優勝を誇り、前回大会のチャンピオンで実績ではオールブラックス(男子のワールドカップ優勝3回)を上回る。まさに、ラグビー王国ならではの結果と言えるだろう。女子ラグビーにおいても各地域のクラブラグビーをはじめ、NPC(NZ国内選手権)やスーパーラグビーなど、代表の下にレベルの高い試合経験を積めるのがNZラグビーの強い秘訣だ。

前回の2017年大会では、体格では圧倒的にイングランドが勝っていたものの、ブラックファーンズが粘り強いディフェンスと強かなラグビーで優勝を勝ち取っている。しかし、今回ばかりは苦戦を強いられそうだ。2021年の北半球遠征ではイングランドに2連敗、その後はフランスにも2連敗で、泥沼の4連敗で遠征を終えた事は衝撃的だった。
さらにはチーム内に問題が発覚し、ワールドカップ開幕の半年前に指揮官の交代劇など不安材料も出てきた。しかし、試合を重ねるごとに新しいコーチングスタッフの戦術が浸透し、ライバルのオーストラリアに大勝するなど2021年よりは確実に上向いてきているブラックファーンズが、自国開催で通算6回目の優勝を狙う。

※ブラックファーンズの 「ハカ」の動画9月24日の日本代表戦にて

ブラックファーンズはオールブラックスと同様、試合前に迫力満点の「ハカ」を行う。

NZ代表の注目選手

2010年と2017年で2回の優勝経験を持つのが、背番号9番をつけるケンドラ・コックセッジ。ワールドカップ後に引退を表明している34歳の大ベテランだ。身長157cmと小柄ながらも、的確な状況判断や素早いパス、正確なゴールキックと、オールマイティーなプレイヤーでチームの大黒柱となっている。有終の美を飾れることができるか、注目すべき選手の一人だろう。

近年力をつけてきている女子日本代表

『サクラフィフティーン』の愛称で呼ばれるラグビー女子日本代表だが、ワールドカップは今回が初めてではない。過去には1991年と1994年、2002年、2017年の4回出場している。今回のニュージーランド大会では、COVID-19によりアジア地区の試合を行うことができず、その時点で世界ランキングにおいてアジアの中で最高位である日本が出場権を獲得することになった。

世界での実力は、サイズが小さいことからも苦戦に強いられていた。しかしながら、2022年に入りオーストラリアやアイルランドなど格上のチームに勝利するなど、結果を出してメキメキと力をつけてきている。指揮官が「世界で戦えるチームになった」と、自信のコメントをしているので頼もしい。

ワールドカップ前の最後の調整として、日本は開催国のNZ代表に胸を借りて戦った。この試合は、すべてにおいて格の違いを見せつけられ大差で敗れたが、少ないチャンスで2つのトライを奪えたことは明るい材料ではないだろうか。ワールドカップを前に厳しい洗礼を受けたが、本戦に向けて良い経験となっただろう。

日本代表の一次リーグの初戦は、10月9日(日)にファンガレイで世界ランク3位のカナダと対戦する。全試合の日程は上記の公式サイトで確認できるほか、日本からはJ Sportsで視聴可能。ぜひ、女子のラグビーワールドカップに注目したい。

※写真は2022年のNZ国内選手権の決勝にて筆者撮影

By 松尾 智規 (まつお とものり)

ニュージーランド(NZ)在住。野球少年がレギュラーの座を捨てて高2でラグビー部に転向。無名校ながら花園が狙える位置まで押し上げるなど活躍が認められて企業チームへ。挫折を経験するもオーストラリア遠征を機に海外ラグビーに挑戦したいと思い立ち、全く英語が出来ないのにNZの現地のチームに飛び入りで挑戦。3シーズン繰り返すほどNZラグビーの虜に。その後、NZに永住してプレイを続けるが度重なる脳震盪の影響と最後は首の怪我で一線を退く。 後遺症と向き合い、地道にリハビリの日々を重ねながらライターとして活動中。スポーツだけでなく、投資、料理、お菓子作りなど幅広く興味を持っており、オジサンながらNZの地でラグビー復帰を狙う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。