◆米国でも開催懸念する報道

東京五輪まで100日を切った。第4波によって新型コロナウイルス感染者は全国的に増加し、五輪開催への機運は高まっていない。世論は「開催反対」の声が大きく、自民党の二階俊博幹事長は後に撤回したが、「五輪中止も選択肢」と発言した。

 

菅義偉総理は日米首脳会議での訪米を前に「政府として開催に向けて、感染防止に万全を尽くしていくのは変わらない」と改めて開催への意欲を口にしている。

 

そのアメリカでも、東京五輪開催を疑問視する声は残っている。CNNは「東京五輪まで100日 日本のワクチン接種率は国民の1%未満 それが問題」とのタイトルで記事を掲載した。

 

記事の中では、新型コロナのまん延で1年延期した五輪が100日後に迫っても、どのように東京はボランティアや選手、日本国民をウイルスの脅威にさらすことなく五輪を開催できるのかという問題が残ったままと指摘。日本では、第4波によって感染者が増えている現状も伝えた。埼玉医科大学の岡秀昭教授が「7月23日の五輪開幕までに感染を抑え込むことができないかもしれない」と話したことも掲載した。

 

特に問題視されているのが、ワクチンの接種率だ。記事では、菅総理が6月末までに1億回分のワクチンを確保したとしながらも、今のところ人口1億2600万人のうち、1%にも満たない110万人しか接種していないと報じている。そして、ワクチンを2回接種した人の割合は、人口の0.4%だけと続けている。

 

その背景として、日本は諸外国に比べてワクチンの承認に時間がかかることを挙げている。専門家はワクチンに対する不信感を払しょくするために国が慎重になっているためで、結果的にアジアの他の国から遅れを取る形になったと指摘している。中国では1億7100万回、インドでは1億800回分の接種が終わっている。

 

五輪開催までにワクチン接種がどこまで進むのか不透明な状況で、選手やボランティアらの安全は確保できるのか、疑問を投げかけている。五輪への逆風は日本国内だけに止まらない。残り100日で、大会関係者も世論も納得する形で開幕することができるのだろうか。

By New Road 編集部

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