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◆五輪中止の選択肢言及

「とてもこれでは無理だと誰もが、そう判断することになった状況のときのことを言っている。やめることに重点を置いていっているわけではない。そういうときがくればスパッとやめる。それは当然のこと」

 

自民党の重鎮、二階俊博幹事長の発言が波紋を広げている。3カ月後に迫った東京五輪の開催について、開催に向けた準備を進める大方針は変わらないとしながらも、再び「中止」の選択肢を口にした。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、大阪や首都圏では3度目の緊急事態宣言を検討する動きが加速している。収束の切り札と期待されているワクチンも課題が山積みで、諸外国と比べて接種が進んでいない。この状況で、東京五輪を開催すべきなのか、国民からは疑問の声が大きい。

 

そうした世論の風向きを感じたからか、二階幹事長は15日に行われた番組の収録で「とても無理なら、やめないといけない。五輪で感染症をまん延させたら、何のための五輪かわからない」と中止の可能性を言及した。この発言は海外でも大きく報じられた。

 

自民党幹事長の言葉とあって、日本国内にも衝撃が走り、関係者は“火消し”に追われた。東京都の小池百合子知事は「叱咤激励と受け止めている」と話し、大会組織委員会の橋本聖子会長は五輪の中止検討は「ない」と否定した。二階幹事長も「何が何でも開催するかと問われれば、それは違うという意味で発言した」とすぐに釈明コメントを発表する事態となった。

 

◆2度目の発言 二階幹事長の意図は

それでも、二階幹事長は19日の会見で再び五輪中止の可能性に触れた。そこには、どんな意図があるのか。テレビ局の政治部記者は「15日の番組収録の発言は、司会者につられたもので政治的意図はないと話していた政治ジャーナリストもいたが、2度目となれば二階幹事長に発言の意図があるのは明らかです」と話す。

 

その意図については「二階幹事長の周辺からは『二階さんは菅総理に見切りをつけた。五輪中止の可能性を自分が最初に発信することで、中止になった場合、自分の影響力を示すことができる。開催したとしても、中止を求めていた国民から一定数は自分への支持が集まると考えている』との声が上がっています。二階幹事長の五輪をめぐる発言は世論の反応を見る目的と、今秋までに行われる総選挙で主導権を握るための布石」と説明した。

 

二階幹事長は東京五輪中止に触れながらも「国民が待望し、選手の皆さんは多年に渡って準備をしてきた。大成功に終わることを心から期待している。党として、できるだけの対応を積極的に講じていきたい」と話している。党内のバランス、世論とのバランスを見ながらの発言とみられている。

 

東京五輪開催の判断は5月下旬の感染状況から、IOCと日本政府、東京都などで協議する見通しとなっている。

By New Road 編集部

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