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タバタで行う複数ワークアウトの効果を消費カロリーと心拍数で比較してみた

強度の高いインターバル・トレーニング方法「HIITHigh Intensity Interval Training)」の代名詞とも言えるのが、「タバタ」と呼ばれる形式である。HIITは短時間で効率の良いトレーニング効果を狙うことが大きな特徴として語られることが多いが、タバタはその最たるものだろう。なぜならタバタの合計所要時間はたった350秒であるし、そのうちの1/3は休んでいるからだ。

トレーニングの歴史を変えた「タバタ」のオリジナル研究

「タバタ」の名称は、考案者の田畑泉博士(立命館大学)に由来する。田畑博士が1996年に発表した論文(*1)はまず海外のスポーツ界で大きな注目を集め、後に日本に逆輸入されるような形で広まった。

*1. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and ˙VO2max.

タバタは8ラウンドのインターバル・トレーニングである。1ラウンドは20秒間の強度が高い運動と10秒間の強度が低い運動で構成され、それを8ラウンド連続で繰り返す。論文ではこのトレーニングを週5回、6週間行うことで、有酸素運動能力と無酸素運動能力の双方に大きな向上があったことを報告した。

このオリジナル研究には固定自転車が用いられ、被験者たちは20秒間の「高強度」運動にVO2max(最大酸素摂取量)の 170%を課せられた。これはかなりきついと言うより、一般人には想像を絶すると言ってもよい過酷なレベルだ。

もちろん競技アスリートでない限り、一般人はそこまでは求める必要はない。自分の限界に近いと思われるゾーンまで追い込めば、それをするだけの効果は十分に期待できる。ただしタバタの時間形式(20秒、10秒を8ラウンド)さえ使えば、どのような種類の運動をしても良いと言うわけではない。なるべく強度が高く、それでいて20秒間を休みなく動き続けられるワークアウトの選択が必要だ。

異なるタバタ・ワークアウトの実験

田畑博士は、タバタでどの種類の運動をするべきかを定義しなかった。そのため、多くのジムやトレーナーたちがタバタと同じ時間形式を使った、さまざまな種類のワークアウトを発案している。そのうちのどれにもっとも大きな効果があり、どれの効果が小さいのか。その疑問を、筆者の身体とフィットネス・トラッカーを使って実験してみた。なお、今回使用したのはFitbit Charge 5。いくつかの異なるワークアウトをタバタで行い、フィットネス・トラッカーに記録される消費カロリーと心拍数を比較したものだ。

1)固定自転車

まずは、タバタのオリジナル研究で使われた固定自転車を試してみた。最初の数ラウンドはそれほどでもないが、4ラウンド目あたりから苦しくなってくる。最後の2ラウンドは息も絶え絶えの状態になるし、すべてが終了した後は太ももが焼け付くような痛みに襲われた。やはり、主観的にはもっともきついワークアウトである。

Fitbit のダッシュボード

  • 消費カロリー(kcal):28
  • 平均心拍数(BPM):124
  • 最高心拍数(BPM):152
  • 主観的疲労度(1~55が最大):5

2)アサルト・バイク

アサルト・バイクは固定自転車と同じように足でペダルを踏むほか、両腕を交互に使ってハンドルを押すと引く、2つの動作を同時に行うことができるトレーニング器具である。全身運動であるし、当初はカロリー消費もその分だけ多いのではないかと思った。しかし、実験の結果では固定自転車との違いはなく上半身と下半身に負荷が分散するせいか筋肉の疲労度はやや低かった。

Fitbit のダッシュボード

  • 消費カロリー(kcal):28
  • 平均心拍数(BPM):127
  • 最高心拍数(BPM):138
  • 主観的疲労度(1~55が最大):4

3)バーピー

直立した状態から腕立て伏せのように地面に胸をつけた姿勢になり、次に両足を揃えて立ち上がり、軽くジャンプして頭上で両手を叩く。この動作を繰り返すのがバーピーだ。器具も広いスペースも必要がなく、全身の瞬発力と敏捷性を高める効果がある。タバタで行うときは、20秒間を休みなく全速力で動き続けることが何よりも重要になる。もちろん、それは容易なことではない。筆者の実験ではバーピーの回数が14ラウンドまでは9回、56ラウンドは8回、78ラウンドは7回に落ちた。

Fitbit のダッシュボード

  • 消費カロリー(kcal):27
  • 平均心拍数(BPM):132
  • 最高心拍数(BPM):154
  • 主観的疲労度(1~55が最大):4

4)ケトルベル・スイング

両手でぶら下げたケトルベルを目の高さまで振り上げる、「ロシアン・スイング」とも呼ばれる動作を選択した。頭上まで振り上げる方法(アメリカン・スイング)だと、動作を停止する時間が長くなってしまうからである。筆者の実験では使用したケトルベルの重量は26パウンド(約12キロ)、スイング数は毎ラウンド14回のペースを最後まで保つことができた。

Fitbit のダッシュボード

  • 消費カロリー(kcal):22
  • 平均心拍数(BPM):117
  • 最高心拍数(BPM):133
  • 主観的疲労度(1~55が最大):3

5)自重スクワット

自重スクワットは、下半身を鍛える自重筋トレの代表的な種目である。直立した状態から膝を曲げ、腰が太ももと平行かそれより低い位置までしゃがみ、また元の位置に戻る。筋肉に効かせるときにはゆっくりとした動作や停止する時間を入れるが、タバタで行うときは素早く、しかも休みなく行わなくてはいけない。筆者の実験では、毎ラウンド15回のペースを最後まで保つことができた。

Fitbit のダッシュボード

  • 消費カロリー(kcal):19
  • 平均心拍数(BPM):111
  • 最高心拍数(BPM):124
  • 主観的疲労度(1~55が最大):1

まとめ

 

消費カロリー (kcal)

平均心拍数 (BPM)

最高心拍数 (BPM)

主観的疲労度(1~5

固定自転車

28

124

152

5

アサルト・バイク

28

127

138

4

バーピー

27

132

154

4

ケトルベル

22

117

133

3

自重スクワット

19

111

124

1

やはり、主観的な疲労度と消費カロリーの数字は比例するようである。固定自転車とアサルト・バイクは器具が必要だが、バーピーはそれらに近い効果を求めることが可能だ。ケトルベルと自重スクワットなど筋トレ種目の数値が低いのは、その動作の特徴として持ち上げるときのみに負荷がかかり、下げるときには休めてしまうからではないだろうか。

[筆者プロフィール]

角谷剛(かくたに・ごう)

アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州内の2つの高校で陸上長距離走部の監督と野球部コーチを務める。

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