冬になると、屋外スポーツをする人々の天敵になるのが「寒さ」です。せっかく仕事前の朝に早起きしたのに、外が寒すぎて体が暖まる前に練習が終わってしまった。走っている間は暖かかったが、汗が冷えて家に着く頃にはかえって体が冷え切ってしまった。あるいは、筋肉が冷えている状態で無理に動かしたので、怪我をしてしまった…など。寒さは、屋外でスポーツする人々にとって最大の障害です。今回は、そんな実際に私が行っている寒さ対策を、経験談も交えながらご紹介します。

目次

室内でしっかりとウォーミングアップをする

まずに気を付けているのが、室内でウォーミングアップを済ませてしまうことです。そもそもウォーミングアップの目的は、レースや練習に向けて体を温めて、急に動いたことによる怪我などを防ぐことです。私はこれを疎かにして、外が寒いのにも関わらずウォーミングアップから屋外で行い、怪我や痛みが出てしまった経験が何度もあります。怪我や故障を防ぐためにも重要になるので、ここはしっかりと抑えておきましょう。

大抵の場合、ウォーミングアップは軽めの動きから、少しずつ体を温めていくことになるかと思います。しかし、冬場は温めたそばから、体がどんどん冷えていってしまうでしょう。特に、ウォーミングアップは軽めの強度から始めるため、体が温まる強度の運動をできるようになるまでかなりの時間が掛かってしまうことがほとんどです。そのため、冬場は時間短縮のためにも、あらかじめ室内などでウォーミングアップを済ませてしまい、外に出たらすぐ練習を始められるくらい体をしっかり暖めておきましょう。そして、外に出たら冷える前に練習を始めてしまう。これが、まずは大切だと思います。

内容を絞って、止まっている時間をなるべく少なく

次に私が気をつけているのは、内容を絞って、なるべく止まっている時間を少なくすることです。一度練習が止まってしまうと、冬場は夏場よりも早く体が冷え始めます。練習を積み上げていく中で、せっかく良い感じに温まっていた体を冷やしてしまうと、メニューを再開する際に怪我のリスクが高まります。

一つ、私自身の失敗談をご紹介しましょう。その日は、北風がとても強い冷たい日でした。室内でしっかりウォームアップは済ませてあり、外に出るときは、すでにそのままメニュースタートしても問題ないくらいの状態。しかし、バイク練習のためいつも練習場所にしている河川敷まで移動する最中、冷たい北風に当たって体はどんどん冷えていきました。その結果、練習場所に着く頃には体が芯まで冷え切った状態に。しかし、そこから再度ウォーミングアップするには寒すぎるということで、メニューを決行したのです。その結局、冷えた体を無理に動かしてしまったため、腰に痛みを感じ練習を中断。その後、数日にわたり練習ができなくなってしまいました。

理想は、室内でウォーミングアップして温めた状態からすぐにメニューをスタートすること、もしくは暖かい室内で練習をしてしまうことでしょうか。しかし、なかなかそのような状況を揃えるのは難しいところです。そのような場合は、なるべく体が冷えないような工夫(厚着で移動、日向の多い道を選ぶ など)をして、メニューが始まったら一枚ずつ脱いでいくといった対策が必要かもしれません。とにかく一番の方法は、メニューを絞ってなるべく寒い屋外にいる時間を減らしてしまうことです。

汗も冷えの原因に。練習中に脱ぎ着できる上着を準備する

寒い日は、練習着の上からさらにジャージなどを羽織った状態で、練習をスタートする方が多いかもしれません。もしくは、厚手の練習着を一枚だけ着て練習を開始する方もいるでしょう。

体が温まれば汗をかきます。これは、たとえ外気が低くても同じ。服を着込んで体が温まってさえいれば、体は体温を下げるために汗をかくものです。汗をかくこと自体は悪いことではありません。むしろ、冬場の練習で汗をかけることは、身体をしっかりと温められている何よりもの証拠でしょう。しかし、問題は汗をかいた後にあります。

体表面に付着した汗は、蒸発する際に周囲の熱を持っていきます。これを「気化熱」と言い、人間の体はこの気化熱によって、体温を下げているのです (厳密には他にも理由が多々ありますが)。つまり、汗をかくと体温が下がるということになります。

冬場、ただでさえ寒い中で、せっかく汗をかくほど体を温められても、そのかいた汗を放っておくと身体はどんどん冷えていきます。結果、それによって体調を崩したり、風邪を引いてしまったりするかもしれません。

私もこれまで、冬場の練習で汗をかいて濡れたシャツのままランニング練習をしていたら、急速に冷えてお腹を壊してしまったことが何度もありました。冷えは、そのまま体調を崩す原因にもなります。より良い練習を続けていくためにも、冬場の練習こそ汗をかいたことによる着替えには気を遣ってください。

毎年、自分を含めて周りの選手を見ていると、この時期の過ごし方によって翌年に大きく成績を伸ばす選手、上手く成績が伸びない選手が分かれてくると感じています。皆さまも怪我や風邪、体調管理には十分に注意して、寒い時期のトレーニングを積んでいってください!

By 古山 大 (ふるやま たいし)

1995年4月28日生まれ、東京都出身。流通経済大学を卒業後は実業団チームに所属。2020年1月に独立し、プロトライアスロン選手として活動。株式会社セクダム所属。 <主な戦績> 2015年「日本学生トライアスロン選手権」優勝 2017年「日本U23トライアスロン選手権」優勝 2018年「アジアU23トライアスロン選手権」2位 2019年「茨城国体」3位、「日本選手権」11位 2021年「日本トライアスロン選手権」4位

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