東京2020パラリンピックで実施される競技種目の一つに、「アーチェリー」がある。障害の程度や部位は選手によって異なるため、残存機能を活かした弓の放ち方に個性が発揮される種目だ。どのような選手が出場するのか、競技の概要や見どころなどをご紹介しよう。

目次

アーチェリーの競技概要

パラリンピックにおけるアーチェリーは、オリンピックを同じ「的を狙い得点を競う」という基本ルールは共通している。しかし、障害の程度によって3種類の種目に分類され、それぞれ的との距離や的の大きさ、弓の種類が異なる。なお、場合によっては補助用具の使用も可能だ。

アーチェリーは第1回のパラリンピックローマ大会から採用され、以来継続して実施されてきた。日本は第2回東京パラリンピック大会に初出場してから連続して出場し、これまでメダルを多数獲得している。

東京2020パラリンピックでの実施種目

パラリンピックのアーチェリーは下半身や平行機能に障害がある選手が出場する「リカーブオープン」と「コンパウンドオープン」、そして四肢に障害がある選手が出場する「W1オープン」の3つに分類される。各種目で男女別の個人戦、男女各1名ずつによるミックス戦の計9種目が実施。日本からは4人の男子選手、3人の女子選手が出場する。予選の順位によって11の対戦形式でおこなわれる決勝の対戦相手が決まるため、予選から決勝まで目が離せない。

<リカーブオープン>

「リカーブ」というオリンピックでも使われる一般的な弓が使用。直径122cmの的を70m離れた位置から射抜く。

<コンバウンドオープン>

使用される弓は「コンバウンド」と呼ばれ、上下の両端に滑車が付き、リカーブの半分程度の力で引ける仕様となっている。

W1オープン>

リカーブとコンバウンドのどちらかの弓を選択。いずれの種目も、直径48cmの的から50m離れた場所から弓を引く。

アーチェリーの見どころ

選手は口や顔で弓を引いたり、足や肩で弓を支えたりと、障害に応じたさまざまなフォームで弓を使用する。残された身体の機能を駆使し、全身全霊で的を射抜く選手の姿に注目したい。的を射抜くための研ぎ澄まされた集中力や精神力、風向きを読む繊細さが競技を観戦する側にも伝わり、その緊張感がクセになることだろう。

パラリンピックにおけるアーチェリーは、3種目それぞれで男女別の個人戦とミックス戦が行われる。選手たちの手に汗を握るような瞬間を、多くのシーンで楽しめるはずだ。日本人では2019年世界パラ選手権でW1ミックス銅メダルを獲得した仲喜嗣・岡崎愛子ペアをはじめ、他の出場選手にもメダル獲得に期待したい。 

クラスと内容

東京2020パラリンピックでは、アーチェリーが以下3つのクラスに分かれている。

  • W1:四肢まひなど
  • W2:脊髄損傷などによる対まひ
  • ST:上肢または下肢の障害

W1は「W1オープン」に、W2STは「リカーブオープン」か「コンバウンドオープン」のいずれかの種目に出場。すべてのクラスでは車いすを使用して競技されるが、障害の程度が軽いSTは立位での競技が可能となっている。 

東京2020パラリンピックでの競技スケジュール

東京2020パラリンピックにおいて、アーチェリーは以下日程で実施される。

  • 827()831()
  • 92()94()

まとめ

障害を抱えながらも、残された身体を駆使して力強く弓を引き、矢を放つ選手の姿。張り詰めた緊張感の中、常に冷静に、そして高い集中力をもって的を射抜く選手たちの姿に注目したい。日本人選手のメダル獲得も期待されるアーチェリーを、ぜひ観戦してみてはいかがだろうか。

▼参考
東京2020公式ホームページ
NHK東京2020パラリンピックサイト
パラサポWEB

By New Road 編集部

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