首都圏の小中学校で、東京五輪の観戦を辞退する動きが広がっている。新型コロナウイルス感染の不安を理由にしている。

 

大会組織委員会は観戦を希望する小中学校に「学校連携観戦チケット」を割り当てている。朝日新聞によると、さいたま市は「埼玉スタジアム」と「さいたまスーパーアリーナ」で予定されているサッカーとバスケットを観戦するため、中学2、3年生と引率教員に向けた計2万3000人分を希望していた。しかし、市教委は「不確定なことが多い」として、全てを見合わせるという。

 

埼玉県内では他にも、越谷市や川越市、草加市なども、割り当ての全てか一部をキャンセルしている。

 

また、神奈川新聞によると、平塚市教育委員会が観戦中止を決めた。横浜市内で開催される野球やサッカーのチケット計540枚を確保し、市内の小中学校45校を対象に希望を募っていた。

 

キャンセルが相次ぐ背景には、主に3つの理由がある。1つ目は新型コロナ感染のリスク。大会組織委員会は、競技会場までの移動を原則、公共交通機関としている。集団での電車やバス移動は3密を避けられず、感染する不安を払しょくできない。

 

2つ目は「不確定要素」だ。大会組織員会は会場に招待しているが、観客を入れるかどうか、まだ決まっていない。五輪開幕まで1カ月半と迫っても不透明な部分があり、直前に変更を強いられる可能性がある。各学校が、IOCや組織委員会などに振り回されることを避けるのは当然といえる。

 

3つ目は「保護者の理解」。複数の報道機関による世論調査で半分以上が五輪開催に反対している結果から、保護者の中にも開催そのものに反対する人も少なくないだろう。新型コロナに感染するリスクを抑えるため、運動会などの学校行事は中止や規模縮小となる中、公共交通機関を使って集団で五輪観戦することへの理解を求めるのは簡単ではない。

 

観客の有無は6月末にも決まる予定だが、その時点で五輪開幕まで3週間余りとなる。感染拡大の収束も見えず、観戦辞退は今後も増えていきそうだ。

By New Road 編集部

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