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メッシの17億6000万分の1 「年俸10円」のプロサッカー選手

◆メッシ4年705億円 年俸176億円

スペインの地元紙ムンドの電子版が、バルセロナのリオネル・メッシの契約内容を報じた。その契約は、今年6月までの4年総額5億5500万ユーロ、日本円に換算すると約705億円。契約書とされるコピーも添付し、スポーツ史上最高額の契約と伝えている。

 

年俸にすると、約176億円と想像もつかない数字となる。夢のある話だが、プロスポーツ選手になれる人は、ごく限られた人だけ。さらに、その世界で成功するのは一握りだ。一般的なサラリーマンと大差のない年俸の選手もいれば、高額年俸を得ても数年でキャリアを終える選手もいる。

 

それでも、どうしてもプロサッカー選手になりたい夢を捨てられず、仕事を辞めて40歳でJリーガーとなった選手がいる。安彦考真。高校3年生の時にサッカー選手を目指してブラジルに留学。高校卒業後に再びブラジルへ渡りましたが、プロになることはできなかった。20歳で帰国し、清水エスパルスとサガン鳥栖のテストを受けたものの、どちらも不合格。夢をあきらめた。

 

◆練習生から契約 年俸「10円」

しかし、39歳だった2017年の夏に「人生の後悔を取り戻そう」と仕事を辞めてプロ入りを志した。当時の年収は900万円ほど。安定した生活を捨てて退路を断ち、プロサッカー選手に向けてトレーニングを始めたという。知人を通じてJ2水戸ホーリーホックの練習に参加。練習生として約3カ月を過ごし、念願のプロ契約を勝ち取った。年俸は10円。年俸ゼロ円では契約を結べないため、「1円×10カ月」とした。

 

◆プロ野球最低年俸は240万円

プロスポーツは多くの場合、最低年俸が決まっている。プロ野球では1軍の公式戦に出場できる「支配下選手」が440万円、1軍の試合には出られない「育成選手」は240万円となっている。育成選手には契約金がない代わりに、支度金として、300万円が支払われるのが通例だ。

 

育成選手は寮生活で出費が抑えられるものの、ゆとりがあるとはいえない。ただ、結果が年俸に反映されるプロの世界。ソフトバンクのエースに登りつめた千賀滉大のように、育成から1億円プレーヤーになれる可能性もある。

 

Jリーグではプロ契約がAからCまで3段階に分かれている。契約は試合の出場時間で決まっていて、J1の場合はシーズン450分以上、J2は900分以上出場すれば、B契約以上を結ぶことができる。最低年俸は460万円に定められている。しかし、C契約には下限がないため、賛否両論はあるが、「年俸10円」契約も可能なのだ。

 

結局、安彦はJ2水戸で出場機会がなく1年で退団した。その思いを自身のツイッターでつづっている「39歳で全ての仕事を辞めて挑んだ挑戦は40歳でJリーガーになるという最高の結果を出した。しかし、その足跡をピッチの中に刻むことはできなかった。悔しくて情けなくて何度も挫けそうになったけど、手に届きそうで届かない世界に身を置けたことを幸せに思う。感謝」。

 

J3で最年長デビュー 年俸10倍に

翌年の2019年、安彦はJ3のY・S・C・C横浜に入団した。年俸は「10円×12カ月」で120円。水戸時代の10倍にはなった。安彦はリーグ初戦のガイナーレ鳥取との試合で、後半37分から出場した。この時の年齢は41歳1カ月9日。これまでジーコ(鹿島アントラーズ)が持っていた、Jリーグ最年長デビュー記録40歳2カ月13日を更新した。このシーズン、最終的に8試合に出場している。昨シーズンも5試合に出場したが、オフに現役引退と格闘家への転身を表明した。