J1の開幕カードが発表され、リーグ戦幕開けまで1カ月あまりとなっている。各クラブから契約更新や移籍が発表される中、2人の選手をめぐってインターネット上では「引き際」についての議論が熱を帯びている。

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◆キングカズ54歳のシーズンへ

横浜FCFW三浦知良選手(53)と契約更改した。発表日時は、その背番号にちなんで、恒例となっている1月11日午前11時11分。三浦はクラブを通じて「昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で、世界中が大変な状況下、様々な方々のおかげで、改めてサッカーができる喜びを感じながらプレーすることができました。個人的には物足りないシーズンとなりましたが、サッカーに対する向上心と情熱は増すばかりです。今シーズンも、より多くの試合に出場し、チームの勝利に貢献することを目標に日々取り組んでいきたいと思います」とコメントした。

 

「キング・カズ」は2月26日に54歳の誕生日を迎える。昨シーズンは13年ぶりにJ1の舞台に復帰し、最年長出場記録を打ち立てた。日本サッカー界のレジェンド。その功績は誰もが認めている。ただ、昨シーズンのリーグ戦出場は4試合。得点が求められるFWでありながら、3年連続ゴールネットを揺らしていない。

 

◆「引き際」が議論に

そのため、インターネット上では「引き際」に疑問を投げかける声も少なくない。「本人が辞めると言わない限り、クラブ側は契約を更新する状況が続く」、「ここまで現役にこだわる理由が分からない」、「FWとして結果を残していない中、若手の出場機会を奪っている」など批判的な意見が並ぶ。

◆大久保は”原点”のC大阪に復帰

そして、もう1人。J1歴代最多の185得点を記録し、昨シーズンはJ2の東京ヴェルディでプレーしたFW大久保嘉人選手(38)。今シーズンは、プロ生活をスタートさせたJ1セレッソ大阪へ15年ぶりに復帰する。自身のツイッターで「最後はセレッソに戻りたいなと思うことがあっても現実味はなく、夢を語っているような感覚でした。自分のサッカー人生がついにここまで来たんだなと感じています」とつづっている。

 

大久保は川崎フロンターレ時代、J1史上初の3年連続得点王に輝いた歴代屈指のストライカーだ。しかし、今シーズンはJで19試合に出場して、無得点に終わった。ネット上では歓迎の声が上がる一方、「世代交代に逆行する」、「引退の花道を用意する必要があるのか疑問」、「恩情契約」と厳しい意見もある。大久保は、こうした批判を覚悟の上で移籍を決断した。ツイッターでは「いろいろと言われる事もありますが、それを力に変えて皆さんを喜ばせるのも自分次第だし、結果で示さないといけないと思っています」と決意を語っている。

 

引き際が議論されるのは、偉大な選手だからこその宿命でもある。プロに求められるのは結果。それはシンプルに数字だけなのかもしれないし、目には見えないクラブへの貢献、さらにはサッカー少年たちへの影響力も含まれるのかもしれない。周りでどんな声が上がろうと、引き際を決めるのは選手自身。カズも大久保も、結果が伴わなければユニフォームを脱ぐ覚悟で今シーズンもピッチに立つはずだ。

By New Road 編集部

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