成島さんは専門卒業後に給食会社へ入社し、調理や献立作成などを担当。管理栄養士の資格取得し、フィットネスクラブへ転職した後に独立した。現在は専門学校で栄養学の非常勤講師として勤務するほか、健康食品会社の顧客対応や婦人科での栄養指導などを実施。ベースフードでは2017年以来、商品発表会で登壇や栄養課題への相談対応など栄養面のアドバイザーとして活動している。

目次

栄養面における現代人の課題

栄養という点において、現在人はどのような課題を抱きがちなのか。多忙で上手く食事を取れないといったイメージは持ちやすいが、実際にはそれだけではないという。

「仕事や家事などで忙しいだけでなく、今は情報の届くスピードや量が膨大です。栄養に関わる情報も、ネットで調べればすぐわかりますよね。それはメリットである一方、何が自分に必要なのかを客観的に見られている人が多くありません。例えばモデルさんが成功したダイエット方法だったり、アスリートの愛用品だったり。これらも入口として悪くはありませんが、自分にとって本当に必要なものかという視点は欠かさずに持っていたいものです。」

確かにインターネットで検索すれば、かなりの情報を誰でも取得することができる。しかし、栄養のように専門的な内容であるほど、情報の取捨選択は個人だと困難かもしれない。また、日々の食事については、個人差が激しいという指摘もあった。

「これまでいろんな方の食生活をみてきた中で、日ごろから自炊習慣のある人は、1日2~3食はとっていて、主食・主菜・副菜の揃った食事が多い印象です。しかし、そもそも食事に興味がない人もいますよね。栄養バランスの問題の前に、同じものばかり食べていたり、あるいは食べていなかったり。これもまた、現代人の課題ではないでしょうか。」

3食は食べる必要があるものの、必ずしも回数が3回である必要はないという。とはいえ、1日に必要な栄養素を数字でみたときに、2食では特に微量栄養素が取り切れず、利用効率も悪い。また、たんぱく質や水溶性ビタミンは、体内で効率良く利用するためにこまめにとることが推奨される。例えば朝食べると、どうしても体調が悪くなる人などはいるだろう。そういう場合は、間食で身体に良いものを摂るのも一つの方法だと教えてくれた。

「自炊はできる人は食材や料理を提案すると比較的スムーズに実践してくださることが多いです。一方で、自炊をまったくしない人もいますよね。そういう方は忙しいだけでなく、やはり食事にそもそも興味関心が薄いのかなと思うこともしばしばあります。そのため、食事をどうしたらいいかというよりも、『何を食べたらこの状況を改善できますか?』と劇的な変化を求める質問が多く寄せられます。これを食べたら健康になれる!というものがあるなら、私も知りたいくらいです…。」

また、成島さんによれば、幼少期の食体験はとても大切なのだという。ご自身も栄養士を目指す前はほとんど料理をしたことがなかったのだとか。

「ある程度、幼少期から食に触れ合うこと。周りをみていても、料理を作ることが当たり前な環境にいると、大人になってからも比較的食に関心が高く、ご自身でも料理をされている方が多いです。私は食べることこそ好きではあるものの、料理を始めたのが遅かったせいか、どうしても『面倒』だと感じてしまい、いまだに優先度は高くありませんから。」

そう苦笑いを浮かべながら話してくれた成島さん。お子さんに栄養に配慮した食生活を送り続けて欲しいと願う親御さんは、ぜひご家庭の食事環境を改めて見直してみてはいかがだろうか。

日本人が不足しやすい栄養素

では、一般の方々とスポーツ競技者を比較したとき、栄養摂取についてはどのような違いがあるのか。ご自身もコロナ禍以前はマラソンに取り組んでいたという成島さんは、次のように教えてくれた。

「これまで、プロアスリートや市民ランナーのサポートを行ってきましたが、一般の人と比べると、栄養に対する意識も感度も高いですね。ご自身ですごく勉強されていて、トレンドにも敏感です。これは栄養だけでなく、トレーニングも同じではないでしょうか。」

スポーツ競技に取り組む人には、栄養に関心を持っている人が多いという。確かに日々のパフォーマンスにも影響が生じるため、これは当然のことなのかもしれない。しかし、恐らく耳が痛いと感じる方も多いであろう指摘もあった。

「例えば、私の周りにも多いランナーの方々は、お酒を飲むのが好きな印象です。楽しみがあって取り組めるのは、素敵なことだと思います。しかし、一般ならその食生活だと不調が起きているかもしれないような食生活を送っている人が見受けられることも事実。ただ、運動しているから帳尻が合っているだけなんですよね。」

パフォーマンスアップを考えると、実践として食生活の改善も必要かもしれない。もしお酒の量や食生活の乱れに身に覚えのある方がいれば、改めて見直してみると良いのではないだろうか。

とはいえ、どのような栄養を摂取すべきなのか悩まれる人は多いだろう。成島さんによれば、日本人が不足しやすい栄養素にはカルシウム、鉄分、食物繊維がよく挙げられ、これはアスリートも例外ではないという。しかし、カルシウムや鉄分は栄養素としてメジャーであり、サプリ等で補っている人も多い。一方、あまり目の向きにくい、しかし意識してほしい栄養もある。

「スポーツをするなら意識してほしいのは、ビタミンB群やビタミンDです。運動時のエネルギー源は主に糖質や脂質です。しかし、ただそれらの栄養素を食事で摂取しても効率よくはたらいてはくれません。効率よくエネルギーを生み出すには、ビタミンの中でも特にビタミンB1やB2、B6などのビタミンB群が必要で、疲労回復にも役立ちます。運動をするから、活動量が多いから『たくさん食べる』だけでなく、ビタミンB群も必要なのだと知っていただけたら。また、ビタミンDは丈夫な骨を作るためのサポート役。骨の材料となるカルシウムの吸収を助けます。スポーツ選手は疲労骨折など骨にまつわるケガもよくみられるので、カルシウムとあわせてビタミンDにも着目してほしいですね。」

ビタミンDは、魚やキノコ、卵黄などに多く含まれ、穀類や野菜にはほとんど含まれていない。一方、ビタミンB群は種類もさまざまなため、含まれる食品も多様なのだとか。例えば、ビタミンB1なら豚肉や豆類、玄米。ビタミンB6ならマグロや鶏肉といった魚や肉に多く含まれる。そのため、やはり偏りのないようバランスよく、さまざまなものを食べることが大切なようだ。

スポーツ競技者が積極的に摂取すべき栄養は?

運動に取り組んでいる人なら、どのような栄養素を特に意識して摂取すべきなのか、そのタイミングなども気になるところだろう。

「運動前後はやはりエネルギーを補給すること。運動前は糖質をしっかり摂りたいところですが、タイミング次第で何を食べるべきかが変わります。まずは運動時にエネルギーとして使えることが前提。それを踏まえて消化にかかる時間を逆算すると、そのときに食べるべきものがみえてくるのです。運動まで3~4時間あれば、基本的には普通の食事で構いませんが、消化に時間のかかる脂っこいものは控えること。それ以降に食べる場合は、おかずは控え、油が少なく糖質中心の食事(おにぎりやうどんなど)がおすすめです。運動まで1時間を切ったら、固形物ではなく、ゼリー飲料や100%果汁ジュースなどがおすすめです。いずれにしても個人の体質によるので、練習時に自分に合ったタイミングと食べ物を試しておきたいですね。一方で、運動後はプロテインなどタンパク質を摂る人が多いでしょう。このとき、糖質も一緒に摂ることで、身体に蓄えておくべきエネルギー源を速やかに回復させ、筋肉の分解を抑えます。できれば、運動後30〜45分以内を目安に速やかな補給を。最近ではスポーツバーなど手軽に補給できるものもあるので、あらかじめ用意しておくと良いですね。」

最近ではサプリメントをはじめ、栄養補給を目的とするさまざまな商品が開発されている。こうした商品の活用は、成島さんから見て“あり”だということだ。ただし、サプリがあるからといって、食事は何でも良いとはならないようにしてほしいとのこと。やはり、できる範囲で食事も摂ってほしいと話す。

「コロナ禍で一時は料理ブームがあったようにも思いますが、テレワークなど自由の利く職場環境が増え、かえって食事が乱れてしまったという声も耳にします。食事を疎かにするほどの生活スタイルをまず見直し、規則正しい生活を。と言いたいところですが、何かと忙しい現代人が1日3食・栄養バランスのよい食事を取ることは簡単ではないと思います。そのため、日頃の食事で不足している栄養素を摂取する目的で、サプリなどの商品は選択肢の1つになるとと思います。また、アスリートであれば、パフォーマンスを上げるための栄養摂取(エルゴジェニックエイド)という考え方もあるでしょう。3回の食事や補食を活用しても摂りきれないほど運動量が多いときは、サプリを有効活用してみると良いと思います。」

手軽に必要な栄養素が摂取できるベースフード

ベースフードは、1日に必要な栄養素の1/3(=1食分)を1食で摂ることができる。ただし、糖質や脂質、ナトリウムなど、現代人が過剰摂取しがちなものは控えめなのだとか。栄養士として現代人の食生活見ていても、糖質や脂質に偏った食事をしている方も多いという。ベースフードはパスタ、パン、クッキーが発売されていて、いずれも33種類の栄養素がとれる製品だ。

「よく『バランスの良い食事とは?』と問われることがありますが、わかりやすい例えとして、一汁三菜と答えることがあります。しかし実際のところ、その食事を毎食用意するのは難しいこともあると思います。いわゆる主食だけで、これほど多様な栄養素を摂取できるものはなかなかありません。」

ではベースフードを活用する場合、どのように取り入れるのがよいのか。アスリートの方であれば、恐らくトレーニングと一緒に持って行く人もいるだろう。しかし、成島さんによれば、食事に組み込んでもらうのが良いのだと教えてくれた。

「ベースの身体づくりとして必要な栄養素なので、日常生活に取り入れるのがベストではないでしょうか。準備が大変だったり、朝食を食べられなかったりする際に置き換えたり、クッキーをおやつにしたり。例えば、お菓子感覚で栄養が詰め込まれている製品は少ないので、クッキーは重宝すると思います。」

ただし、ベースフードには食物繊維が多いため、特にトレーニング前後、胃腸の弱い人はあまりおすすめしないという。スムーズなエネルギー補給という意味であれば、白米やうどんなど速やかに消化できる食べ物がおすすめのようだ。しかし、普段から野菜が少なく、白米でお腹を満たしているような場合には、どこかのタイミングでベースフードを取り入れてみると良いだろう。

ベースフード購入者からの声

ベースフードでは、月20食くらいを目安に組み込んでもらうことを推奨しているのだとか。“大人の給食”と表現しているが、大人になって振り返ると、ちゃんと栄養を考えられた食事が定期的に食べられるのは有難いことだ。実際にベースフードを活用している方からも、さまざまな声が寄せられているという。

「トレーニングしている人からは、手軽な栄養補給はどうしてもサプリやプロテインで、食事というより栄養素を摂っているというものが多い中、パンや麺など食事として摂れる点が魅力と感じている方が多いようです。糖質や脂質などが抑えられている分、自分の好きなもの(ジャム、チーズなど)でアレンジできるところも良いと聞きますね。料理するほど熱心じゃなくても、コンビニやファストフードよりはもう少しご自身で管理したい人に良いのではないでしょうか。常温で保存できるので、トレーニングにも持って行けます。一方、主婦などからは仕事や家事、育児に忙しい中で、合間に取れるのが嬉しいという声も。さらに、子どもでも好き嫌いなく食べてくれるという声もあります。」

健康のため、若々しくいるためいう理由も素敵だが、好きなこと(スポーツ)を長く続けるための方法として、トレーニングだけでなく栄養にも着目してほしいと話す成島さん。栄養というと難しく考えられがちだが、そもそも食事は栄養のためだけに食べるものではなく、楽しみや競技後のご褒美でもあるだろう。そのため、全体のバランスを見ながら、食事自体を楽しんでもらいたいと思いを語ってくれた。

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成島 真理(なりしま まり)

管理栄養士。自身がスポーツ貧血を患った経験から栄養士を目指し、給食会社やフィットネスクラブでの勤務を経て独立。現在は、専門学校の講師として教鞭をとるほか、妊産婦やアスリート、ダイエッターの栄養相談やヘルスケア企業のサポートを行う。また、プレコンセプションケアに関心を持ち、慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムに個人会員として参画。

By 三河 賢文 (みかわ まさふみ)

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。

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