政府の新型コロナウイルス対策分科会メンバーの押谷仁・東北大教授が、東京五輪・パラリンピックの開催について懸念を示したことを8日、英紙タイムズ(電子版)が伝えた。

 

 押谷教授は同紙の取材に対し、リスクを検証するために必要な情報が得られていないことを指摘。「どの国から何人が訪れるのか、今もまだ分からないのが問題」と述べ、「政府や組織委員会は安全な五輪を開催すると言い続けているが、リスクがあるのは誰もが分かっていること」などと訴えた。

 

 英国に在住する通信員は「分科会のメンバーである押谷の教授の発言は英国でも大きな反響を呼んでいます。英国の人達からすれば、『リスクが大きすぎることを指摘しているのになぜ、日本政府や国際オリンピック委員会は強行突破するのか』と疑問を抱いています。日本だけでなく、世界の人達も五輪開催に疑問を呈している」と語る。

 

 SNS、ネット上でも「世界中に影響を及ぼすオリンピックを、これほどまでギリギリになるまで、形が明確にならないまま進めるとは。それ自体、異常であり、国内外に迷惑をかけていると誰も認識していないのか?G7で『安心安全な大会開催を支持する』と明記されるそうだが、『安心安全』の基準は明確にされておらず、あくまで、『日本がそう言っている、実際そうなら支持する』という意味に過ぎない。こんな世界中に悪影響を及ぼす、意味不明なイベント開催は、感染症の誰かが止めなければならない。分科会の先生方に心からお願いしたい」、「専門家がリスクが大きいといっているのに開催を強行するなら、国民の多くが納得する理由を説明してほしい。納得する理由が無いなら開催すべきではないと思う」などのコメントが。

 

 五輪開催まで1カ月半を切ったが、「安心・安全の大会」に不安と懸念がぬぐえない。分科会の意見を受け止め、政府に説明責任が求められる。

By New Road 編集部

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