目次

◆高梨今季初優勝 前日は失格

オーストリアで開催されたノルディックスキーのワールドカップ・ジャンプ女子第6戦で、高梨沙羅が今季初優勝した。通算58勝目を手にし「きのうはミスもあったが、きょうはチームが助けてくれた」とコメントした。

 

高梨が「きのうのミス」と触れたのは、失格となった前日の競技。1回目に91.5mを記録してトップに立ったが、競技後にスーツの規定に違反があったとして失格になった。日本勢では、予選に出場した伊藤有希も、同じ理由で失格となっている。高梨は2018年のワールドカップでも、スーツの規定違反で失格になった。その時は、3位に入った前日と同じスーツを着ていた。

 

◆スーツの規定に疑問の声

これに対し、インターネット上では高梨や伊藤を擁護するコメントや、規定に疑問を投げかける声があふれている。外国人選手と比較し「伊藤選手が予選の1本目で失格したので、高梨選手を注意深く見たが、ちゃんと規則を守っていると感じた。外国人選手のスーツの股下の下がり方の方がひどい」、「不自然なほどウェアの股下が下がっている海外の選手がいた。最近は、こういうウェアになっているのかと思ったほどだったが、その選手は失格になっていなかった」。

 

股下部分にゆとりを持たせると空気抵抗が大きくなって浮力が増すため、意図的にスーツを下げて身に付けていると指摘した。さらに、「ジャンプをはじめ、ウインタースポーツは日本勢に不利なルール変更が多い」といった意見もあった。

 

◆日本勢に“逆風”ルール改正

スキー・ジャンプのルール改正として思い出されるのは、スキー板の長さ。日本が男子団体で金メダルを獲得した1998年長野オリンピック後、スキー板の長さが、これまでの「身長+最大80cm」から「身長の146%」と変更された。

 

例えば、身長170cmの選手の場合、250cmのスキー板を使うことができたが、ルール変更後は248cmまでと2cm短くなる。一方、身長185cmの選手は、最長265cmから270cmとなり、5cm長い板の使用が可能となった。ジャンプ競技は、浮力が大きいほど飛行時間が長くなり、遠くに飛ぶことができる。そのため、スキー板が長い方が有利とされ、欧米の選手と比べて背が低い日本人選手にとって、不利な改定と言われた。

 

◆高梨の戦い方が変わる規則改定

2013年に規則改定の案がまとめられたときは、「加点目的のゲート変更を認めない」とする内容も含まれ、高梨に逆風と指摘された。ゲートの位置を下げると助走のスピードが落ちるため飛距離は短くなるが、飛行の姿勢が安定するメリットがあった。飛型に課題があった高梨はゲートを下げて、着地のときに確実テレマークを確実に入れることで加点する作戦を取ることがあった。

 

スポーツの大前提はフェアプレー。日本勢を勝てなくするためのルール変更や、日本選手と欧米選手で異なる基準があるとは思いたくない。

 

By New Road 編集部

スポーツメディア「New Road」編集部 読者の皆さまの心を揺さぶる、スポーツのさまざまな情報を発信しています!