日本ではまったく報道されていませんが、先月、パデル界では大きな出来事がありました。 パデルのプロツアーの一つ『Premier Padel(PP)』を運営する世界有数のスポーツ投資会社Qatar Sports Investments(以下、QSI)が、Setpoint Events有するプロツアーとしてはもっとも歴史のあるWorld Padel Tour (WPT)を買収し、敵対関係から一転歴して史的な合意に達したのです。以前にコラムでも、現在パデルのプロツアーが戦国時代だとお伝えしました。どうやら、PPの天下統一で幕を閉じることになりそうです。

・参考:世界ではすでに戦国時代突入!パデルを取り巻く世界の最新情報

PPは国際パデル連盟International Padel Federation(以下、FIP)と連携しており、FIPはFIP TOURと称してテニスと同様、さまざまな国でトーナメントを開催しています。2023年9月14~17日には、千葉県で『FIP TOUR』が開催されました。同大会にはフランスのチャンピオンやカタール代表、そしてスペインからも何人かの選手が来日。これまでも日本で開催されたことはありますが、コロナの影響などもあり、去年まで国内のFIP TOURには日本人選手しか出場していませんでした。しかし、2023年7月に大阪で開催された『FIP RIZE OSAKA』(※RIZEは大会グレードのこと)にも海外選手が出場しており、 個人的にこの流れはとても喜んでいます。

目次

真の「グローバルツアー」誕生に期待

これまで私が挑戦してきたWPTや今年初挑戦した『A1PADEL(A1P)』といったツアーは、独自のランキング制度を持っています。また、これらのツアーは日本を含めたアジア諸国ではトーナメントを開催しておらず、トーナメントに挑戦するためにはツアーの主戦場であるヨーロッパまで行かなければいけません。しかし、FIPとWPTが統合したことにより、国内で開催されるFIP TOURでポイントを取得してから、海外のトーナメントに挑戦することが可能になります。

日本の他にオーストラリアでもこのFIP TOURが開催されていましたが、つい先日、タイでも今秋にFIP TOURが開催されると発表がありました。このように、国内やアジア圏内でポイントを獲得できれば、そのポイントを元手にヨーロッパで開催されるグレードの高いトーナメントに出場することも夢ではなくなります。

早速、この新しく統合されたツアーが来年からスタートする予定です。ですから私自身、もう少し頑張りたいと思います。ちなみに、前述した『FIP RIZE CHIBA』で、私は第5シードとして出場しました。 結果については、改めてご報告させていただきます。

Premier Padelを支えるQSIとは?

最後に、今回WPTを買収したQSIについて、もう少し補足します。 もしかしたら、ご存じの方は多いかもしれません。QSIはフランスのプロサッカーチームであるパリ・サンジェルマン(PSG)を保有しており、QSIの会長ナセル・アル・ケライフィ氏は、カタールのテニス協会とスカッシュ協会の会長でもあります。 QSIの擁するPPは、これまでのパデル界のお金事情をあっさりと凌駕しており、先日開催された『PARIS MAJOR PREMIER PADEL』は、テニスの全仏オープンの会場であるローランギャロスを使って行われました。賞金総額8,000万超という、これまでのパデル界では類を見ないビッグトーナメントだったのです。

PPには賞金総額8,000万超の「MAJOR」と、4,500万超の「P1」の2種類があります。2023年はこの2カテゴリーを合わせて8大会が行われ、 2024年はパデル界にとってリスタートと言える年になりそうです。

By 庄山 大輔 (しょうやま だいすけ)

2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。