前回取り上げた「WORLD PADEL CHAMPIONSHIPS DUBAI 2022」(以下WPC)ですが、日本女子は残念ながら17カ国中16位という結果に終わりました。 2018年が14位、2020年も14位、そして今回は16位。前回同様に今大会も「10位以内」を目標に掲げて大会に臨みましたが、結果だけを見ると去年より厳しい結果です。しかし、この結果には色々な見方があります。日本女子チームのレベルは間違いなく上がっていますが、それ以上に各国のレベルが上がっていて、これまでと同じやり方では離される一方だと多くの選手が感じているようです。

・参考:まもなく開幕の「WORLD PADEL CHAMPIONSHIPS DUBAI 2022」に日本から女子チームが3大会連続出場

ここで、少しこれまでの日本チームの歩みを振り返ってみましょう。2017年に国内初となるパデルの公式戦「JAPAN PADEL TOUR(以下JPT)」がスタート。その1年後の2018年に早くもWPCへ初出場し、2020年大会は予選なしで本戦からスタート、今大会は予選全勝(※)で本戦入りしました(前回お伝えした通り、予選は全10試合行い失セット数1という成績で予選突破)。一方、男子は3大会続けて予選敗退しており、アジアアフリカ地域内で男女の「レベル差」があることがお分かりいただけるでしょう。このように客観的な事実だけを並べていくと、「世界大会」とか「本戦」というものへの渇望は、もしかすると女子選手より男子選手の方が強いかもしれません。

私は、安易にハングリー精神という言葉で語るのはあまり好きではありません。とはいえ、多少なりとも関係はしているのかなとも感じています。

目次

混沌としてきた世界、立ち位置が見えてきたアジアアフリカ地域

今回感じた、3点の点について見ていきます。

①スペイン・アルゼンチンの二強時代は継続

これについては以下結果のように、これまでと変わりませんでした。

  • 男子:アルゼンチン優勝、スペイン準優勝
  • 女子:スペイン優勝、アルゼンチン準優勝

②ヨーロッパ・南米勢の力が拮抗

これは、以前より混沌としてきた感があります。去年3位だった男子が今年5位、去年5位だった女子が今回9位と、それぞれ順位を下げたブラジルのような国も。その一方、去年9位だった男子が今回6位、去年6位だった女子が今回4位と順位を上げたベルギーのような国もあり、力がかなり拮抗しているように感じます。

③上記の国々とアジアアフリカ地域国との差

今回、日本女子チームは順位を下げました。また、男子に関してもアジアアフリカ地域から日本を倒してエジプト・カタール・UAEが本戦に出場しましたが、それぞれ(17チーム中)エジプト15位、カタール16位、UAE17位という成績となっています。ヨーロッパや南米とアジアアフリカ地域の国々との差、そして男子に関してはアジアアフリカ地域内での国々との差がはっきりしました。日本チームに関していうと、女子はアジアアフリカ地域ではチャンピオンですが、世界に入ると後続集団。男子は、アジアアフリカ地域の中で後退しつつあります。

変えるべきものを変える勇気

ニーバーの祈りの一節に、 次のようなものがあります。この点について、関係者が皆で真剣に考えるべきタイミングに来ているのではないでしょうか。

「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」

男女共に、3大会続けて目標を達成できなかったのはなぜなのか。何を変え、何を継続していくのか。出場した選手たちの話を聞くと、来年以降に海外のツアーへ出場する意思がある選手が何人かいました。これは私も同感で、これはやはりスポーツの世界では王道ですが、より強い選手と対戦する機会を求めて海外にいく必要があるでしょう。というより、現段階ではそれしか残っていないような気がします。

継続して挑戦できる形を作りつつ、私自身ももう少しだけ続けたいと思っていますが、その前に待ち構えているのが12月の全日本。まずは、そこで良いプレーができるよう頑張ります。2022年の全日本は初となる関西での開催(12/2〜12/4)で、大阪府交野市にある『パデルワンほしだ』での開催です。お近くの方は、是非とも観戦にお越しください。

By 庄山 大輔 (しょうやま だいすけ)

2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。

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