2022年10月23日(日)、山形県新庄市で「第4回 新庄いものこハーフマラソン」が開催された。新型コロナウイルスの影響を受け、3年振りの開催である。例年、市内外や隣県から数百名の参加者が集まる大会で、今回はハーフマラソンと10km、そして約5kmウォーキングの3部門を設置。10kmに出走してきたので、その様子をご紹介しよう。

目次

緊張感に包まれてスタートの号砲

本大会には2022年に箱根駅伝へ初出場を果たした、駿河台大学駅伝監督の徳本善一氏がゲストランナーとして参加。スタート前には選手たちへアドバイスを伝え、自身もハーフマラソンに出走した。当日は悪天候が予想されており、朝起きると弱い雨が。しかし、スタート目前になると青空が広がり、むしろ暑さを感じるほどの天候となった。

本大会には、シリアスランナーからファンランナーまでさまざまな層のランナーたちが集まる。最初にスタートしたのはハーフマラソン。見るからにハードなトレーニングを積み上げ、記録を狙いにきた選手が先頭に立っていた。

スタートの号砲が鳴った後、あっという間に選手たちは遠くへ…。沿道からは拍手や声援が送られ、手を振ってこれに応える姿も見られた。

続いてスタートしたのはウォーキングの部。約5kmの道のりを、スタッフに誘導されながら歩き始めた。レース感の溢れるハーフマラソンと異なり、和やかで楽し気な雰囲気である。中にはカメラで撮影しながら歩いたり、仮装したりする参加者もあった。

そして、最後のスタートとなったのが、私も出場させていただいた10kmの部。こちらもハーフマラソン同様、特に先頭はピリピリとした雰囲気である。距離こそ短くなるものの、その分だけペースは速い。まさにスピードレースと言える種目であり、どことなくシリアスランナーの割合が高いようにも感じられた。

自然に囲まれた走りやすいコース

10kmの部は、ハーフマラソンの前半&後半のコースを走る。スタート直後は少し上り基調だが、基本的にはフラットなコースだ。高い建物がないので空が広く感じられ、周りには田んぼが広がるのどかな雰囲気。道路もキレイに舗装されて走りやすかった。

たまに大会の旗が立っていたり、誘導や給水所等のスタッフがいて声を掛けてくれたり。沿道に人のいるエリアは限られているが、たまに地元の方が応援してくれるのが嬉しい。追い抜く際には他ランナーに声を掛けさせて頂いたが、皆さん返事をしてくださって温かな大会だと感じた。

ちゃんと距離表示もあるので、GPSウォッチを持っていなくても大丈夫。特に終盤の疲れたタイミングでは、この表示を見ることで「あと少しだ」と気持ちが折れずに済んだ方も多かったことだろう。

終盤に距離調整のためか、1か所だけ折り返しポイントがあった。短い区間ではあるものの、他ランナーとすれ違える。必死にゴールを目指す姿を目にすることで、自分自身も奮い立ってくるような気がするから不思議だ。

ゴールは新庄東山総合運動公園にある陸上競技場。実は小高い丘にあるため直前に急坂があるのだが、上り終えてブルータータンを目にすると足が軽くなるような気がした。反発のあるタータントラックは、まるで背中を押されているかのようにスピードが出る。誰もが全力を出し切ったゴールは、やり切ったという達成感や嬉しいという気持ちで満ち溢れていた。ずっとアナウンスで選手たちに声が掛けられていたが、選手たちにとっては喜びを高める要素となったのではないだろうか。

ゴール後は美味しい“いものこ汁”

感染対策もあってコース上には水しかなかったが、ゴール後には美味しい郷土料理“いものこ汁”(芋煮)がふるまわれる。しかも、山形のお米「つや姫」を使ったおにぎり付きだ。具沢山で温かいいものこ汁は、疲れた体を内側から癒してくれる。おにぎりも美味しく、走った後の補給にも最高。地元の名物や特産品を味わえるのは、本大会の素晴らしい点と言えるだろう。

その他に、フルーツやお菓子などもあった。走り終えて、食事しながら談笑する選手たち。賑やかな大規模大会も良いが、ほっこりした気分になれる、こうした大会も違った楽しさがあると感じられた。雰囲気から自然の多いコースや景色、そして食べ物。新庄市の魅力が、ギュッと詰まった大会である。

大会会場は新幹線も通るJR新庄駅から近く、さらに駅と会場とで往復の送迎バスも運行されている。駅付近には宿泊施設もあるし、観光ついでに訪れるのも良いのではないだろうか。実は新庄市は、有名な漫画家・冨樫義博(とがしよしひろ)氏の出身地。市の公式イメージキャラクター「かむてん」も、富樫氏がデザインしたそうだ。本大会や新庄市にご興味を持たれた方は、ぜひ公式ホームページをチェックして頂きたい。

新庄いものこハーフマラソン 公式ホームページ

かむてんとは(新庄市ホームページ)

By 三河 賢文 (みかわ まさふみ)

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。

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