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◆朝乃山に口裏合わせ提案

スポーツニッポン新聞社は、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドラインに違反して外出した大関・朝乃山に同行していた44歳の記者を、諭旨解雇処分とした。この記者は、朝乃山とともに不要不急の外出をしていたことを週刊誌に報じられていた。

 

スポニチによると、元記者が朝乃山と親しくなったのは2019年8月の北海道巡業の頃だった。LINEで日常的に連絡を取り合うようになり、会食の費用は基本的に朝乃山が負担していた。新型コロナ感染拡大で取材に制限がかかる中、元記者にとって朝乃山は直接会って話ができる貴重な関係だった。

 

記録は残っていないが、元記者の記憶では、2020年3月からの1年間で、東京・神楽坂にある行きつけのキャバクラに約15回行った。場所中ではなかったという。2021年4月は5回ほど、同じキャバクラに行っている。

 

週刊誌が報じている5月7日は、そのキャバクラの前で合流する約束をした。タクシーで店に到着した朝乃山は、近くに止まっていたミニバンから光が見えたことから、週刊誌の記者に写真を撮られたと感じた。

 

元記者は車内の人物に抗議した後、タクシーに同乗して西麻布に向かった。西麻布にある元記者が知っているダイニングバーで、知人女性2人を含む4人で午後11時から数時間会食し、朝乃山はタクシーで帰宅した。

 

5月18日、元記者は知らない男性から緊急事態宣言中に朝乃山と神楽坂に行っていたか問われたが、否定した。また、スポニチ本社に週刊誌から質問状が届いていることを上司から伝えられた。質問状には、西麻布で午前3時ごろまで女性を伴って朝乃山と一緒にいたところを目撃した件や、それ以前にも朝乃山とキャバクラに行っていたのは事実か問うものなどだった。

 

元記者は朝乃山を守りたい思いから、事実を隠蔽して朝乃山に口裏合わせを提案した。上司にも同じように虚偽の報告をした。しかし、19日の夜、朝乃山からLINEで「ごめんなさい」とメッセージが届き、「何がですか」と連絡すると、「全部ばれています」と告げられた。元記者は履歴を削除しており、具体的な内容は確認できていないという。元記者は上司に週刊誌の内容が事実だと伝えた。

 

◆諭旨解雇は退職金が一般的

この外部の弁護士の協力を得て行った社内調査の結果、スポニチは元記者を6月10日付で諭旨解雇処分とした。諭旨解雇とは、企業と処分の対象者が話し合い、両者が納得の上で処分を決める制度。強制的に執行される懲戒解雇と違い、過去の功績などを理由に会社の温情で、処分を若干軽くしたもの。

 

懲戒解雇は多くの場合、退職金が支払われない。さらに、離職票の離職事由にも「懲戒解雇」と記される。一方、諭旨解雇は一般的に退職金の全額か一部が支払われる。もちろん、企業の就業規則によって、対応は異なる。

 

スポニチは「記者教育が十分ではなく、コンプライアンス意識が全体に浸透していなかったと言わざるを得ません。2度とこのような不祥事を起こさないよう、取材コンプライアンスや、新型コロナウイルス感染予防策の徹底を行います」などとコメント。

 

再発防止策として、全社のコンプライアンス研修や、不祥事の防止に向けた行動規範策定などを挙げている。

By New Road 編集部

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