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◆8年ぶりに楽天復帰 2年契約

ヤンキースからFAとなっていた田中将大投手が、8年ぶりに日本球界に復帰する。楽天が入団の基本合意を発表。石井一久GM兼監督は「田中選手から楽天イーグルスでプレーさせていただきますと連絡をいただきました。連絡を受けた時に少しホッとしたというか、彼の決断をしっかり受け止められたかなと思います」とコメントした。契約年数は2年だという。

 

◆過熱する報道にツイッターで否定

メジャーに残るのか、日本球界に復帰するのか。決断に至るまで、去就をめぐる報道は過熱した。報道に対して沈黙を続けてきた田中も、ツイッターで一部報道を否定するほどだった。その中には「一度、日本に戻ったら、再びメジャーに戻って成功するのは難しい」という趣旨の報道もあった。過去には、日本球界でプレーした後、再びメジャーに戻って活躍した投手もいる。

 

◆日本からメジャー復帰して成功した投手多数

最近では、おととし阪神でプレーしたピアーズ・ジョンソン(29)が、昨シーズンメジャーに復帰している。阪神では58試合に登板して、2勝3敗、防御率1.38とブルペンを支えた。この活躍が評価され、2年ぶりにメジャー復帰したパドレスでは、24試合で3勝1敗、防御率2.70と安定した投球を見せた。(昨シーズンのメジャーリーグは60試合に短縮)

 

同じく昨シーズン、メジャーに復帰したのは、レンジャーズのジョエリー・ロドリゲス(29)。2018年から2年間所属した中日では、通算90試合に登板して50ホールド、防御率1.85。3年ぶりのメジャーでは、12試合で8ホールド、防御率2.13と、来日前よりも好成績を残している。

 

◆メジャー復帰で最多勝投手も

先発投手では2017年まで3年間、巨人でプレーしたマイルズ・マイコラス(32)がメジャー復帰の成功例だ。巨人で通算31勝を記録。メジャーに戻った2018年にカージナルスで18勝を挙げて、最多勝のタイトルを手にした。

 

すでに引退しているが、2008年から2年間、広島でプレーしたコルビー・ルイスもメジャーで再び活躍した。広島では先発の柱を担い、2年連続2ケタ勝利をマーク。レンジャーズに移籍した翌2010年に12勝すると、2015年には17勝と、メジャー復帰してから6年間で4度の2ケタ勝利で65勝を挙げている。巨人で活躍したビル・ガリクソンも、メジャーに復帰して2年目で20勝をマークして最多勝に輝いている。この時の年齢は、現在の田中と同じ32歳だった。

 

◆「世界一」経験左腕も再び米国に

日本人投手では、2016年に現役を引退した岡島秀樹が日本球界で結果を残し、再び海を渡っている。2007年にレッドソックスで勝利の方程式の一角を担い、66試合で50ホールド。移籍1年目で、ワールドチャンピオンに貢献した。5年間で259試合に登板。しかし、2012年2月のキャンプ直前、左肩に問題が見つかり、オフにヤンキースと結んでいたマイナー契約が無効となった。

 

岡島は6年ぶりに日本球界へ復帰。左肩の不安を一掃し、ソフトバンクで56試合に登板して24ホールド、防御率0.94という驚異的な数字を残した。そのオフに自らの希望で自由契約となり、アスレチックスとマイナー契約。開幕はマイナーで迎えたが、5月に昇格して、わずか1年でメジャーのマウンドに戻った。しかし、レッドソックス時代のような輝きは取り戻せず、登板は5試合だけ。オフに自由契約となり、三度、日本球界でプレーすることになった。2014年はソフトバンク、2015年はDeNAに所属。2016年はオリオールズとマイナー契約を結んだが開幕前に自由契約となり、その年に40歳でユニフォームを脱いだ。

 

◆後日入団会見 “伝説”再現へ

楽天への復帰が決まった田中はツイッターで「今シーズン、日本でプレーする決断に至った経緯や思いは、後日、入団会見を行う予定ですので、その席でお伝えできればと思います」とつづった。楽天で最後にプレーしたのは2013年。開幕から一度も黒星を喫することなく24連勝し、球団を創設9年目で初の日本一に導いた。

 

田中の頭の中人は今、楽天で再び日本一になることしないだろう。ただ、契約が満了する2年後には、再びメジャーに戻ることも可能だ。その時は34歳。年齢や日米のボール、マウンドの違いなどで、成功は難しいという声も上がるだろう。しかし、これまでの田中の実績からは一般論をあてはめて考えるのは無意味にみえる。

By New Road 編集部

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