2023年10月14日(土)に、第100回箱根駅伝予選会が行われました。今回は100回の記念大会ということもあり、関東以外の大学にも予選を通過すれば出場権が与えられることに。京都産業大学や立命館大学、皇學館大学などの関西勢も含めて、全57校が出場しました。なお、予選会はハーフマラソンを走り、各大学で上位10名の合計タイムで争われます。結果、予選を通過して第100回箱根駅伝への出場権を獲得したのは、以下13の大学です。

  1. 大東文化大学(10:33:39)
  2. 明治大学(10:34:38)
  3. 帝京大学(10:35:08)
  4. 日本体育大学(10:36:42)
  5. 日本大学(10:36:54)
  6. 立教大学(10:37:06)
  7. 神奈川大学(10:37:20)
  8. 国士舘大学(10:37:21)
  9. 中央学院大学(10:37:27)
  10. 東海大学(10:37:58)
  11. 東京農業大学(10:39:05)
  12. 駿河台大学(10:39:40)
  13. 山梨学院大学(10:39:47)

今年の第99回大会で11位だった東京国際大学は予選通過圏内でレースを進めるものの、1年生のリチャード・エティーリ選手が転倒によって後半失速。5,000mと10,000mで日本学生記録を持つエースのアクシデントということもあり、なんと3秒差で出場権を逃しました。箱根駅伝に限らず、駅伝にはこうした予期せぬ事態がたびたび起こり、これが結果を左右することも多々あります。今回は予選会を振り返り、純粋な結果以外での所感などまとめました。

目次

関東以外の大学は

第100回を記念して、関東以外の大学にも門戸が開かれた箱根駅伝。その予選には出場権を獲得すべく、全国各地から大学が参戦しました。滅多にないチャンスに、各校とも並々ならぬ決意を持って走ったことでしょう。

しかし、残念ながら結果として、第100回箱根駅伝の出場権を獲得したのはすべて関東の大学となりました。関東以外で最上位だったのは、27位の京都産業大学(10:54:22)。個人成績で見ると、同大学の中村光稀選手の1:03:36が最速で66位というタイムでした。

関東の大学に強い選手たちが集まってしまっているのか、関東の大学で育つ選手たちが多いのか。その理由は定かではありませんが、個人的には箱根駅伝出場を目標とする選手が自然と関東に集まっていること、そもそもの大学数を見ても東京都が圧倒的に多いことが背景なのではないかと感じます。もちろん関東以外にも素晴らしい選手はたくさんいるものの、現時点では差がはっきり出てしまった印象です。

立教大学と駿河台大学

関東勢では今年55年振りの箱根出場を果たした立教大学が、予選6位という好成績で2年連続の出場権を獲得しました。「箱根駅伝に出場する」ことはもちろん、連続出場はさらに難度が増します。例えば2020年に26年振りの箱根駅伝出場を果たした筑波大学は以後出場がなく、今回の予選会でも20位という結果。その他にも、過去常連ながらしばらく出場のかなわない大学は少なくありません。もちろん選手たちのたゆまぬ努力があればこそですが、箱根駅伝でどのような結果を見せてくれるか楽しみです。

また、2022年の第98回箱根駅伝で初出場を果たした駿河台大学も、今年こそ出場を逃していたものの12位で予選を通過。第100回大会で、2度目となる出場権を獲得しました。その立役者とも言えるのが、今年加入した留学生のスティーブン レマイヤン選手。2022年で初出場した経験、そして2023年で出場を逃した悔しさを糧として、第100回箱根駅伝ではどんなレースを見せてくれるのでしょうか。

10年振りに箱根駅伝へ復活する東京農業大学

先ほど「過去常連ながらしばらく出場のかなわない大学」と言いましたが、東京農業大学もこれに含まれるでしょう。予選会では10:39:05のタイムで11位となり、第100回箱根駅伝への出場権を獲得。これが、実に10年振りの箱根駅伝出場となります。

東京農業大学の中でも素晴らしい走りを見せてくれたのが、1年制の前田和摩選手。なんと1:01:42という、日本人トップのタイムで駆け抜けました。しかも、今回が初めてのハーフマラソンだったとのこと。箱根駅伝ではどのような走りを見せてくれるのか、目が離せません。

そして東京農業大学と言えば、「大根踊り」を思い出す方は多いはず。同大学の応援歌である「青山ほとり」が正式名称ですが、すっかり「大根踊り」の名称で有名になりました。実際、両手に大根を持って踊る応援団の姿は印象的。東京農業大学の名物とも言える「大根踊り」が、久しぶりに見られるのかも楽しみです。

予選会に意外な出場校、放送大学関西

結果こそ55位(12:28:57)だったものの、とても興味の湧いた大学がありました。それが、放送大学関西です。放送大学といえば、テレビやインターネット等で学ぶことのできる通信制大学。その放送大学に部活動があることも知らなかったのですが、陸上競技部は2020年4月に創部されたばかり。放送大学はその特性から働きながら学ぶ社会人学生も多く、陸上競技部もその限りではありません。

チーム内には一度競技を離れながらも放送大学という場で再び走り始めた選手、社会人ランナーとして走りながら学ぶ選手などもいるようです。恐らく、全員がキャンパスで集まる機会は少ないことでしょう。仕事と学業とを両立させながら、選手たちでスケジュールを合わせ練習に取り組んできたのではないでしょうか。そんな中、箱根駅伝予選会へ出場を果たしたことは、実のところ非常に凄いこと。なぜなら予選会にも、出場するには以下のような要件をクリアしなければいけないからです。

  • エントリーは10名以上、14名以下
  • エントリー者は10,000mで34分00秒以内の公認記録を持つこと

人数を集めること、そして参加に必要な記録をエントリー者全員が突破すること。この条件をクリアしたからこそ、放送大学関西は予選会の場に立ったのです。箱根駅伝の出場権こそ届きはしませんでしたが、その「走り続けたい」という気持ちと姿勢は、ぜひ今後も応援したいと感じました。

なお、第100回箱根駅伝は2024年1月2日から1月3日に開催されます。出場するのは予選会を通過した大学に、2023年大会でシード権を得た大学を加えた全23校。どの大学が優勝を勝ち取り、そしてどんなドラマが生まれるのか。ぜひ楽しみに待ちましょう。

第100回東京箱根間往復大学駅伝競走

By 三河 賢文 (みかわ まさふみ)

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。

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