2023年5月27日(土)に東京都で開催された『東京ウルトラマラソン2023』。オーバーナイトで50km走る“夜の部”に参加し、完走することができました。大都会とは思えないほど静まり返った東京都心部を、夜中から早朝にかけて走るという本大会。当日は午前中に高校の授業参観へと行き、3時間ほど仮眠を取ってからスタート地点の新宿二丁目へと移動。就寝時間の早い私にとっては通常ならベッドに入ろうかという22時という時間から、大勢のランナーと一緒に走り始めました。夜中だというのに、皆さん驚くほど元気です。

車は何台も走っていますが、歩道には人の姿がほとんどありません。走り始めるとほどなくして他ランナーとも離れてしまったので、完全な一人旅です。“走っている”ことを除けば、なんだか出張先で夕涼みしながら散歩している感覚。特に私は東京都外に住んでいるので、ちょっとした観光気分が味わえます。

暗い道は、安全のためヘッドライトを点灯。ずっと一人で走っていると、ちょっぴり心細くなってくるのは私だけじゃないでしょう。スマホで地図を確認しながら走りますが、「道間違えてない?」と何度も心配になります。

夜なので涼しいと思いきや、湿度が高いので汗の量も半端ではありませんでした。特に信号待ちやエイド(補給ポイント)で立ち止まると、一気に滝のような汗が流れ出します。こんな真夜中に倒れるなんてとんでもないので、何度か自動販売機で水分補給。そのたび他ランナーがいないかキョロキョロ周りを見てしまいますが、序盤の数kmを除き誰にも会いませんでした。途中でスタッフの方に聞いたところ、ずっとトップで独走していたそうです。

寂しいので何度か後続ランナーを待とうかとも考えましたが、誰もいない東京都心の道を走っていると、なんだか気分が上がってしまいます。そして、実はゆっくり走ってもいられない理由がありました。実は翌日、朝から娘の幼稚園で運動会が予定されていたのです。

「始発で帰宅し、できれば1~2時間でも仮眠して元気な状態で参加しなくては!」

これが大会の裏で、自分自身に課していたミッション。なにせ年長な娘にとっては最後の運動会なので、目の下クマで寝ぼけ眼なんてことは避けたいところ。ウルトラマラソンは何が起きるか分かりませんから、前半から余裕を持てるペースで走っていたのでした。そこに気分の高揚もあり、そのままゴールへと一人で進み続けます。

何より本大会で驚いたのが、スタート&ゴール地点だった新宿二丁目の賑わい。時間と共にマンションやビルの明かりも消え、まさに静寂とも言える東京都心を走ってきたのですが…新宿二丁目は明るくて賑やか!噂には聞いていたものの、結果としてゴールしたのは夜中3時頃。それにもかかわらず、周辺にはたくさんの人々が楽しそうにお酒を飲んで盛り上がっています。恐るべし“眠らない街”です。

予定より早くゴールできたので、始発時間まで少しゴールの「Cocoさくら」さんで休ませて頂きました。飲み物や食べ物も提供してくれて、まさに至れり尽くせり。とても手作り感のある大会で、ランナーもスタッフも全員がいつも明るく笑顔なのが印象的です。何度も参加しているリピーターが多いようですが、心から納得できる素敵な大会でした。

大会やイベントは、それを作り、運営してくれる人で印象が大きく変わります。走ることを通じて“楽しさ”を満喫したい方は、ぜひ次回参加を検討してみてはいかがでしょうか。夜通しということで運営の方々も大変だったと思いますが、楽しく充実した時間に感謝です。都内在住の方でも、あまり目にすることのない真夜中の都心を走るのは、きっと面白い体験になるでしょう。ちなみに私は無事に始発で帰宅し、娘の幼稚園もしっかりビデオ&写真撮影しながら楽しみました。

なお、大会の様子は以下記事でも詳しくご紹介しています。

【大会レポ】真夜中の東京を駆け巡る「東京ウルトラマラソン」

By 三河 賢文 (みかわ まさふみ)

“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かした技術指導も担う。ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。

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