少し前になりますが、FIP(国際パデル連盟)主催としては初となるプロツアー「Premier Padel」がカタールで開催されました。このPremier Padelは、従来のFIPツアーの最上位となる位置付けの大会。賞金総額もこれまでのパデルのトーナメントと比較すると、破格の金額(約7,000万円)です。テニスに例えるならウォンブルドンや全米オープンといった、グランドスラムのようなトーナメントがついにパデルにも誕生しました。3月に行われた記念すべき第一回のカタール大会では現在世界ランキングNo.2ペアのPaquito・Dinennoペアが優勝し、優勝賞金約1,300万円を手にしました。そして5月23日からはイタリアで開催され、8月にはテニスの4大大会のうちの一つ全仏オープンの会場である「ローランギャロス」でも開催が決まっています。
元プロテニスプレーヤーも本格参戦
去年私が挑戦したWORLD PADEL TOURでは、予選敗退者には賞金が出ません。しかし、このPremier Padelでは、予選敗退者にも約11万円の賞金が出ます。もちろんこの金額で、遠征費用のすべてをカバーすることはできません。しかし航空券分くらいは浮きますので、その分だけ長く現地で調整できたり、出場できる大会が増えたり、少し良いホテルに泊まったりするできます。そのため、これまで他のツアーに出場していた選手も、このPremier Padelに出場する方が勝利を掴める可能性が上がるのではないでしょうか。
また、パデルはテニスやビーチテニス、スカッシュのようなラケット競技と親和性が高い競技です。そですから国内外を問わず、それら競技で思うように成績を残せていない選手が、Premier Padelに流れてくる可能性も考えられなくないでしょう。また、パデル含め各競技を引退した選手が戻ってきたり、パデルを始めたりということもなくはないのではないかと思っています。現にダブルスで世界ランキング1位になったこともある元プロテニスプレーヤーのロベルタ・ビンチという選手は、今シーズンから本格的にWORLD PADEL TOURに参戦していて現在86位です。
このPremier Padelは今年10大会ほど開催される予定で、イタリアやフランスの他にメキシコでも開催が決定しました。 まだ未定ですが、私は8月に開催されるフランス大会への出場を視野に入れて活動しています。 先ほどご紹介したビンチ選手のようにテニス、特にダブルスを得意としていたテニスプレーヤーにパデルはおすすめです。今後、パデルは間違いなくメジャースポーツへと成長していくことでしょう。今から、ぜひ皆さんもパデルを始めてみませんか。
2019年にアジア人初となるWORLD PADEL TOUR出場を果たし、2021年現在、45歳にして再度世界に挑戦中。全日本パデル選手権二連覇、アジアカップ初代チャンピオン。国内ではコーチ活動も行なっている。モットーは「温故知新」。