東京五輪は1カ月後に開幕が迫る中、次々と問題が露呈している。会場での酒類販売は世論の批判を受けたことなどから一転して中止。観客は当初よりも大幅に減るため、チケットは再抽選となる見通しだ。来日した選手団からは新型コロナウイルス感染が判明し、その検査体制の不備が指摘されている。

 

急な日程変更に困惑しているのは、男子ボクシング・フライ級代表の田中亮明。岐阜県にある中京高校で教員をしながら、五輪出場権を手にした。2歳年下の弟はプロで3階級制覇を成し遂げた恒成。アマとプロで道は違うが、ともに日本の頂点に立っている。

 

田中はプロに関心がなく、アマチュア最高峰の五輪出場にこだわってきた。2016年のリオ大会では、世界最終予選で五輪切符まであと1勝に迫りながら、出場権を逃した。東京大会は、ようやく掴んだ夢の舞台。家族や知人も、その時を楽しみにしているという。

 

しかし、予期せぬことが起きた。試合の日程が変わったのだ。東京大会は開催が1年延期されたが、競技は1年後の同じ週の同じ曜日に変更される。田中が出場するボクシング・フライ級1回戦は、7月最終週の水曜日にあたる28日に延期となっていた。チケットを購入した人が1年後も観戦できるようにした措置だが、フライ級の1回戦は急きょ、その2日前の26日に変更された。28日には別の階級の試合が開催される。

 

田中は自身のツイッターに「ほんとなら家族や知り合いがみんなチケット買ってくれたのに違う階級のチケットになってしまってやばいですけど。まじですか?(原文のまま)」と戸惑いをつづっている。

 

大会組織委員会は運営上の理由として、水泳の飛び込みやアーティスティックスイミング、体操のトランポリンなどの競技時間を変更すると発表している。ボクシングに関しては、種目ごとの参加枠が変更され、日ごとの実施種目を変更になっているとしている。

 

田中にとって、1カ月後の試合が2日前倒しになる影響はそこまで大きくないだろう。ただ、その勇姿を見せたいと思っていた人が観戦できないとなれば、田中自身も家族や知人も大きな楽しみが奪われることになる。

By New Road 編集部

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