東京五輪の野球日本代表に24人の選手(投手11人、野手13人)が内定した。巨人の坂本勇人やソフトバンクの柳田悠岐、オリックスの山本由伸ら、日本球界を代表する顔が並んだ。五輪経験者は2008年の北京大会に出場した、楽天の田中将大のみだった。

 

野球は2012年のロンドン大会、2016年のリオ大会と、2大会連続で実施されなかったため、2008年の北京大会以来、3大会ぶりとなる。北京大会では4位に終わった日本代表は、地元・東京大会で金メダルを目標に掲げている。

 

このメンバー選出をめぐり、SNS上では「デーゲームへの強さは考慮されているのか」、「デーゲームに強い選手を見極めて起用してほしい」と “珍要求”が出されている。ファンが「デーゲーム」を重視する理由は、一部報道で7月28日の開幕戦を含む複数の試合が、正午に開始されると伝えられたからだ。

 

通常プロ野球の1軍の試合は夏にデーゲームをする場合、試合会場はドーム球場となる。屋外で開催するのは春と秋に限られ、炎天下で試合をすることはほとんどない。インターネット上では「デーゲームや日中の熱さに慣れている2軍で活躍する選手を選んでもよかったのでは」といった意見もあがっている。

 

グラウンドの照り返しやユニホームを着てプレーすることなどを考えると、選手の体感温度は40℃を超えるだろう。東京五輪では暑さ対策を理由に、マラソンの会場が札幌に変更されたにもかかわらず、野球は最も気温が上がる時間に試合が組まれている背景には、放映権の問題がある。

 

東京五輪の放映権を持っているのは、米国の放送局NBCIOC(国際オリンピック委員会)に巨額な放映権料を支払っており、当然視聴率には強くこだわっている。

 

もし、東京五輪の野球をナイターで実施すれば、米国では早朝の時間帯となる。一方、日本の正午に開始すれば、米国では視聴率が見込める夜の時間帯となる。野球は米国でも人気スポーツのため、灼熱のデーゲームが増えたとみられる。

 

今回、野球に出場するのは6カ国と少ない。さらに、台湾とオーストラリアが新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、最終予選を辞退した。こうした状況から野球の盛り上がりを疑問視する人も少なくない中、「放映権ファースト」ともいえる日程は、野球ファンの五輪熱を冷ます可能性もある。

By New Road 編集部

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