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24時間テレビは「何を救い」 どんな大義名分で放送するのか

◆新型コロナ「24時間テレビ」に逆風

新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しは見えない。医療現場の厳しい状況が続いていることもあり、東京や大阪の緊急事態宣言は延長される見通しとなっている。

 

感染拡大のリスクを抑えるために国が不要不急の外出を呼びかける中、2カ月後に迫った東京五輪は開催されるのか。国民の理解をどこまで得られるのか。先行きは不透明だ。

 

複数の報道機関による世論調査では、東京五輪開催に反対する人は6~7割を占めている。この状況に危機感を募らせているのが、日本テレビの上層部だ。毎年恒例の「24時間テレビ」は、今年も8月21日から予定されている。番組の特徴はチャリティーマラソン。

 

さらに、全国各地で募金を呼びかけたり、イベントを開催したりする。都内を離れて地方に取材行くことも多い。五輪が中止、または国民から批判される中で開催となれば、その1カ月後の「24時間テレビ」放送は強い逆風となることが予想される。

 

「24時間テレビ」放送に対しては、すでに賛否が交錯している。インターネット上では「募金をスマホ決済にして、イベントも毎年出演しているジャニーズを中心にしたライブ配信にすれば、感染リスクなく募金を集められるのではないか」、「集めたお金を医療従事者ら、コロナで大変な人たちに渡せばいい」と賛成の声がある。

 

◆8月に放送予定 賛否交錯

一方、「情報番組やニュース番組で不要不急の外出や密を控えるように呼び掛けて、24時間テレビは感染対策を万全でやりますというのは都合のいい解釈」、「愛は地球を救うとうたっているが、自社やスポンサー、タレントを救うためにしか見えない」などの意見も上がっている。

 

“不要論”も挙がる中、日本テレビの小杉善信社長は「今年もどんな形であろうと必ず24時間テレビはやる」と明言している。その背景には、深刻なテレビ離れや広告収入の減少があるという。

 

在京テレビ局の社員は「24時間テレビは大手企業が広告費をつぎ込む、今では珍しいドル箱番組。若者のテレビ離れは急速に進んでいて、広告収入は激減してインターネットに逆転された。今後も上向きになる要素はなく、斜陽産業と言われるのも時間の問題。貴重な収入源となる24時間テレビは、視聴率や低くても、世間から批判されても、放送しないという選択肢はないでしょう」と語る。

 

こうした話を裏付けるように、テレビ業界には厳しい数字が突きつけられている。急速に伸びているインターネットの広告費と対照的に、テレビは右肩下がり。2019年に初めてテレビはインターネットに抜かれ、その差は開くばかりだ。

 

◆広告費激減 テレビ離れ加速

今月20日に発表されたNHK放送文化研究所の調査では、10代と20代の半数がテレビを見ない実態が明らかになった。調査日にテレビを15分以上見た割合は10~15歳は56%、16~19歳は47%、20代は51%と、いずれも5年間で20ポイントほど減っている。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅率が上がっているにもかかわらず、全体でも85%から79%に減少しており、「テレビ離れ」の加速が浮き彫りとなった形だ。こうした現状を見れば、広告の効果を考えて企業がテレビからインターネットに乗り換えるのは当然で、今後も傾向は強くなる一方だろう。

 

前出のテレビ局員は「局として感染防止を呼びかけておきながら、24時間テレビを放送することに、日本テレビの上層部も矛盾は感じているはず。ただ、目先の利益に飛びつかざるを得ないほど、テレビ業界は厳しい状況に追い込まれている」と説明した。

 

「愛は地球を救う」がキャッチフレーズの24時間テレビ。新型コロナ感染を不安に感じている人や、感染拡大で苦境に立たされた人を救うために、どんな形を選ぶのだろうか。