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剣道は多くの人にとって身近にある競技|剣道・三森定行選手コラム

はじめまして。剣道LABO®︎代表・剣道ファシリテーターの三森定行(みもりさだゆき)です。私は1976年生まれの45歳。住んでいる東京都をベースに、剣道専門の出張型パーソナルコーチとして活動しています。剣道界で私のような有料のパーソナルコーチは他に聞いたことがなく、自分自身で作った仕事・職業という認識です。

私自身は、剣道で有名な選手というわけではありません。剣道を本格的に始めたのは中学校の部活動でした。高校・大学と続けた後、就職で数年のブランクを経て再開。そこから再び剣道にのめり込み、とうとう仕事にまでしてしまった“剣道バカ”(家族談)。今年、剣道七段に昇段が叶った中年剣士です。

皆さんは剣道をご存知でしょうか。聞いたことがある、観たことがある、あるいは知り合いがやっていた…など。恐らく、剣道をまったく知らないという方は少ないはずです。

剣道は誰にでも身近な競技

剣道には、マイナーな競技という印象をお持ちかもしれません。しかし実は、皆さんがイメージされているよりも身近な競技なんです。

例えば、柔道は多くの方が知っているはず。記憶に新しい東京2020大会でも、たくさんの感動を与えてくれたあの競技です。では、柔道と剣道を比較してみましょう。柔道部と剣道部を設置している高校の数は、令和3年度の全国高等学校体育連盟(高体連)加盟学校数によると以下のようになっています。

  • 柔道部: 2,650校(男子部・女子部合計)
  • 剣道部: 5,535校(男子部・女子部合計)

次に、部員数も見てみましょう。

  • 柔道部:15,624人(男女合計)
  • 剣道部:34,857人(男女合計)

設置校数も部員数も、剣道の方が柔道より2倍以上も多いことが分かります。ちなみに、参考まで男子剣道部が2,980校あるのに対して男子バレーボール部は2,754校です。つまり男子に限ってみれば、剣道部はバレーボール部と比べても少し多いことになります。このことからも、剣道は意外にも身近にあるように感じられるのではないでしょうか。

なぜ剣道がマイナー競技なのか

では、なぜ剣道はマイナーなイメージなのか。私は、恐らくプロ制度の有る無しが大きいのではないかと考えています。剣道にプロ制度はありません。そもそも剣道だけでご飯を食べいくことはとても難しい、そんな世界です。剣道の道場の先生でも専任で行っていけるのは少数。では強い、あるいは有名な選手はどこに所属しているかというと、主に警察です。一般的な警察官から機動隊、果ては剣道の術科特別訓練員(略称『特練』)まで…あらゆる形で剣道と関われるのが警察なんです。

剣道で唯一テレビの地上波で放映される「全日本剣道選手権大会」に出場している各都道府県代表の選手にも、警視庁や各県警所属が少なくありません。先述の特練は各警察署の署員に剣道を教える先生に対し、剣道を指導する先生を育成する場でもあります。また、日本の治安を守るという使命の下、お給料制ではありますが食いっぱぐれることなく、剣道が強くて肩書きもピカイチ。退官後の名誉職にも恵まれるという、プロ制度を必要としない…というより育たない、なんなら育たなくてもいい環境がしっかりあるのです。

先ほど比較した柔道も、警察で専門的に続けられる競技ではあります。しかし、企業の実業団に所属する選手の方が有名強豪選手のようになっている点が、柔道と剣道との大きな違いと言えるかもしれません。どんなに剣道が好きでも、学生時代の私に警察に入るという選択肢はありませんでした。仕事と家庭と趣味の剣道とが両立できる人生を歩めれば御の字。そう思って生きてきましたが、思うところあって私は剣道を仕事にしています。

ファシリテーターとしての役割

剣道LABO®︎では、剣道のパーソナルコーチをしているとお伝えしました。さまざまな分野でパーソナルトレーナやレッスンプロが活躍し、結果にコミットしています。そんな中、剣道界にもマンツーマンで上達をサポートするサービスが必要だと考え、この事業を立ち上げたのです。

所属している練習場所(道場・団体)で師範や指導者に教えを仰ぐだけでは補えない、以下のようなものを担っています。

  • 個別の課題を映像で可視化し客観視する
  • 課題を元に組んだ個別のプログラム
  • マンツーマンの稽古で課題を共有し変化を定点観測

また、私が名乗っている「剣道ファシリテーター」という謎の肩書きにも意味があります。なぜなら、私はクライアントに指導をしないからです。新たな技術や知識、考えを授けるよりも、対話を通してクライアントの目指す剣道を引き出し、“なりたい自分”に近づくため共に進む役割を担いたい。そんな考えから、「促進者」の意味を持つファシリテーターと付けました。

剣道は「道」という字が付いているだけあって、上達への遠回りを美学だと考えている剣道家も多いように感じます。しかし私は、もう少し合理的だったり科学的だったり、客観的な取り組みがあっていいと思っているのです。自分の仕事の性質的にも、個人的な捉え方においても、剣道界ではちょっと異質かもしれません。しかし剣道が大好きで、“昨日の自分より強くなりたい”という気持ちで剣道と向き合い、現在も取り組んでいます。

本コラムでは、そんな私が考える剣道にまつわるお話を、つたない文章ではありますがお届けして参ります。剣道経験者はもちろん、これまで剣道にまったく触れたことのない方々にも、剣道の魅力をお伝えできたら幸いです。これから、どうぞお付き合いください。

[著者プロフィール]

三森 定行(みもり さだゆき)

剣道LABO®︎代表・剣道ファシリテーター。自身の剣道経験と映像編集技術を駆使し、社会人剣道家の上達をマンツーマンでサポートしている。東京・神奈川・千葉・埼玉にクライアント多数。全日本剣道連盟 錬士七段。1976年生まれ、45歳。