プロ野球開幕まで2週間となった。シーズンの幕開けとなる開幕戦は独特の緊張感がある。各チームのエースが大役に指名されるため緊迫した試合が多く、昨シーズンは6試合中4試合が3点差以内。残りの2試合も8回、9回に一気に得点が入り、7回までは1点を争う接戦だった。過去の開幕戦には、球史に刻まれる試合があった。

 

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◎1958年 巨人―国鉄

立教大のスターだった長嶋茂雄が巨人でデビュー。国鉄のエースは、後に前人未到の通算400勝を記録した金田正一だった。注目の対決となったが、結果は長嶋の4打席連続三振。金田はプロのトップレベルを見せつけた。しかし、翌1959年の開幕戦では、長嶋が金田から本塁打を放っている。

 

◎1994年 西武―近鉄

先発投手は西武が郭泰源、近鉄が野茂英雄だった。両投手とも一歩も引かない投手戦となり、8回まで0-0。均衡を破ったのは近鉄だった。9回1アウト一、二塁から4番・石井浩郎が先制3ラン。目の前で3番・ブライアントが敬遠された屈辱をバットで晴らした。

 

8回まで西武をノーヒットに封じていた野茂だったが、9先頭の清原に二塁打を許すと、四球と失策で1アウト満塁のピンチ。ここで梨田昌孝監督は、守護神の赤堀元之を投入。しかし、赤堀は西武・伊東勤に逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びた。野茂は史上初となる開幕戦でのノーヒットノーランを、あとアウト3つのところで逃した。

 

◎1997年 巨人―ヤクルト

巨人の先発は開幕戦で3年連続完封勝利を飾っていた斎藤雅樹。4年連続の快挙を止めたのが、広島から戦力外通告を受けてヤクルトに移籍した小早川毅彦だった。野村克也監督に「5番」で先発起用されると、移籍最初の打席で初球をバックスクリーン右へ運んだ。さらに、第2、3打席はライトスタンドへ。3打席連続本塁打で、斎藤に黒星をつけた。

 

◎2004年 中日-広島

落合博満監督が開幕投手に指名したのは、右肩の故障で3年間、1軍登板がなかった川崎憲次郎だった。川崎は初回を3者凡退にしのいだが、2回に広島打線につかまり5失点でKOされた。しかし、打線が奮起して逆転勝利。川崎に勝敗はつかなかった。

 

◎2005年 ロッテ―楽天

50年ぶりの新規参入球団となった楽天は、岩隈久志が先発した。近鉄のエースだった岩隈は、近鉄とオリックスが合併したオリックス・バファローズへの入団を拒否し、楽天を選んだ。「1軍で戦えるチームではない」と揶揄される中、岩隈は9回1失点で完投勝利。しかし、翌日はロッテに0-26で大敗するなど、楽天の1年目は38勝97敗1分け、勝率.281の最下位に終わった。

 

◎2011年 ロッテ―楽天

東日本大震災の被災地・宮城県を本拠地とする楽天は、東北の期待を一身に背負って開幕を迎えた。ロッテとの開幕戦は同点の7回2アウト一、三塁から、嶋基宏がレフトへ決勝3ラン。前のシーズンにわずか3本塁打だった選手会長の打球は、東北の願いを乗せてスタンドに届いた。

 

巨人・斎藤雅樹の3年連続完封勝利。その記録を止めたヤクルト・小早川毅彦の3打席連続本塁打。達成目前で断たれた近鉄・野茂英雄の開幕戦初のノーヒットノーラン。さらに、開幕戦の記録では、阪急・山田久志が12年連続で大役を務めている。劇的な試合が多い開幕戦。今シーズンは、どんな展開が待っているのだろうか。

By New Road 編集部

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